どうも、アドプラットフォーム事業でアプリケーションエンジニアをしている渡辺です。
運動不足の解消にVRでボクササイズを続けていますがなかなか効果が実感できずモヤモヤしているこの頃です。
今日は今年2024年に行った弊部署の新卒研修の内の1つについて紹介しようと思います!
- 研修について
- スクラム研修をレゴで行う意図
- 研修の流れ
- 1. オープニング・アイスブレイク
- 2. スクラム基礎講座 (座学)
- 3. レゴスクラム講座 (ワークショップ)
- 4. クロージング
- やってみて
研修について
弊部署の新卒研修は部署に配属されてから1〜2か月ほどかけて様々なカリキュラムで行っています。
その中でも今回は私が担当をしたスクラム研修について紹介します!
我々のスクラム研修ではレゴを使って実際のスクラムの流れを体験するワークショップ形式になっています!
......このブログの熱心なファンであればこの時点で気づくかもしれませんが実はこのレゴスクラム研修、去年を踏襲して第2回目となります!
去年(2023年)に実施したレゴスクラム研修についてはこちら!
スクラム研修をレゴで行う意図
弊部署では長らくスクラムによる開発を行ってきました。最近でこそXPなどの別のフレームワークも取り入れられてきていますが皆共通のスキルセットとしてスクラムでの開発経験があります。
なので、新卒にもスクラムを身につけてもらうことで実務に入っても円滑にチームでの開発をできるようにするという目的があります。
ただ、配属間もない新卒のスキルセットには振れ幅があるのでそれも考慮して内容を考える必要があります。
つまり、スクラム研修で満たしたいこととしては以下の内容になります。
- 研修でスクラムの概念について理解してもらう
- 研修後にはスクラムを実践できる状態になってもらう
- 研修内容は他の技術力を前提とせず取り組めるようにしなければいけない
スクラムの公式ガイドには抽象的な「必要なこと」は書かれています。ですが具体的な「どうやるか(手法)」の部分は書かれておらずチームに任せる方式をとっています。
この内容を座学のインプットのみで教えるのは難しいのではないでしょうか。概念の大枠については理解できるかもしれませんが身について実践できるかというと微妙なところです。
そこで有効なのが実践すること。つまり実際にスクラムを使ってみるということですがいきなり開発に入ると技術的な面に気を取られてしまい「スクラムの手法を学ぶ」という点がおざなりになりがちです。
そこで、技術力のいらない単純な動きだけでものづくりを進められる レゴ
でスクラムを実践することにしました。
研修の流れ
研修は丸1日かけて以下の流れで行いました。
- オープニング・アイスブレイク
- スクラム基礎講座 (座学)
- レゴスクラム講座 (ワークショップ)
- クロージング
今回、スクラム研修では自分含め講師2人 + アシスタント1人で実施しました。
オープニングからスクラム基礎講座まではもう1人の講師の方に実施してもらい、レゴスクラム講座を私が担当しました。
ですのでこの記事ではレゴスクラム講座のことを中心に書いていこうと思います。
アシスタントの方は活動風景の写真を撮ったり、突発的な問題が発生した際に対応してもらうといった役割でした。
おかげで研修に集中もできましたし写真も撮ってもらえたので、この記事でも共有していきます!
1. オープニング・アイスブレイク
まずは出社して会議室に集まったあと、軽く今日1日の流れを説明します。
研修期間中、ほとんどの研修がオンラインでのリモート実施だったので皆さんちょっと緊張気味です。
でも大丈夫、緊張も体もほぐすためにアイスブレイクを用意したので早速実施していきます。
アイスブレイクでは「AirTagかくれんぼ」というのを実施しました。やり方は以下の通りです。
- 講師がオフィス内にAirTagを隠す
- プレイヤー(新卒)はオフィスの地図から当たりをつけてAirTagが隠されている場所を1か所推測する
- 推測した場所に移動してそこにないか確認する
- なかった場合、講師はAirTagと連携されたiPhoneを短時間プレイヤーに見せる (AirTagへの方向・距離が表示される)
- 2〜4を繰り返す
つまり、隠されたAirTagの場所を都度見せてもらえるiPhoneの情報から割り出し見つける宝探しゲームとなっています。
このアイスブレイク、実は
- 高い不確実性との直面 (スタート時点ではAirTagの情報も不正確)
- 情報をもとに移動を繰り返す (イテレーションの体験)
- イテレーションを重ねることで不確実性が減ってくる
というアジャイルの要素をうっすらと感じ取れるような内容になっています。
それはそうと新卒の皆さん、目標のAirTagを見つけ出すのにしっかり取り組むとともに緊張も解けた様子だったのでよかったです。
2. スクラム基礎講座 (座学)
アイスブレイクが終わり再び会議室に戻ればいよいよ研修の本題開始です。
午前中は用意した資料を用いてスクラムを0から講義形式で教えていきます。
基礎講座では資料をもとに淡々と説明するだけでなく、プロダクトバックログやスプリントボードを画面に映して実際のチームがどのように動いているのか見せたりと、より内容を実感できるようにしています。
また、資料は基礎講座の講師の方がスライドではなく社内ドキュメントとして作ってくれました。そうすることで後から一人で見返してもドキュメントとして内容がまとまっているので復習しやすいという工夫が施されています。
3. レゴスクラム講座 (ワークショップ)
午前中いっぱいの基礎講座を行いお昼休憩を挟んだ後、ついにレゴスクラム講座が始まります!
ここではレゴを使って実際にスクラム形式で開発をしていきます。
アイスブレイク (兼ウォーミングアップ)
と言ってもいきなり手を動かせと言われても難しいものです。まずはアイスブレイク兼ウォーミングアップと称してレゴに軽く触れてみる時間を設けます。
アイスブレイクの内容は「制限時間内に配られたレゴで動物を作れ」です。
配られたパーツで完成させることができる模範解答の動物はいますがどんな姿・形・大きさなのかの情報が全くないので制限時間内に作ることは困難です。
そう、このアイスブレイクではレゴに慣れるという点以外に不確実性が高いとどれだけ目的を果たすのが難しくなるか、を体験してもらう狙いもあります。
そして時間は経ち......
完成した動物たちがこちら!
個性豊かな動物たちが生まれましたね!しかしながら作って欲しい動物ではありませんでした......。
それでも、「動物を完成させた」という点においては皆さん達成していて素晴らしいですね。互いの動物を褒め称えたのち次のお題に移ります。
次のお題は「制限時間内に"この参考画像の"動物を作れ」です。
文面はほとんど同じですが追加の情報として配られたパーツで作ることのできる動物のぼやけた参考画像を表示しました。
研修では猿と犬の画像をスライドで表示させどのような形でどんなポーズを取ってるかなんとなくわかるようにしました。このブログではその参考画像を載せないので読者の皆さんは新卒の方たちが作った完成品をお楽しみください!
そうして出来上がったのがこちら!
両端の猿はほぼ完璧です!真ん中の犬たちは面影はありつつもまだまだ伸び代がありそう。犬の方がパーツが多かったので難しかったですね。
こうして短い集中の時間と面白かわいい動物の見せ合いを行って緊張もほぐれたところでスクラム実践に入っていきます!
レゴスクラム実践
レゴでスクラムってどういうこと?と思う方もいると思います。
レゴスクラムではコードの代わりにレゴを組み立て、動くサービスの代わりにレゴ建築物を作り上げるのです。最終的に出来上がるものこそ違いますがその過程はスクラムの動きそのままで行うことで、個々の技術スキルに関係なくスクラムを体験できます。
レゴスクラムのイベントの流れは上に書いたようにスクラムと同じです。
新卒たちは開発チーム、講師陣はステークホルダーとしてスプリントを回していきます(今回は4スプリント実施しました)。
しかし、サービスを作る開発と違いレゴで組み立てを行うこと、1日で作り上げることからそれぞれのイベントの時間は大幅に短縮されています!
スクラムでは各イベントの時間(タイムボックス)を守ることが大切なので、それぞれに割り当てられた時間を最初に説明してこのタイムボックスを守ることも事前に注意喚起しました。
以下がスクラムの流れと所要時間です。
- リリースプランニング (10分)
- スプリント
- スプリントプランニング (10分)
- スプリント作業時間 (10分)
- スプリントレビュー (10分)
- スプリントレトロスペクティブ (10分)
- 休憩 (5分)
そして新卒たちに今回作ってもらうものを提示します。今回作ってもらうのは「理想の街」!
簡単なペルソナと絶対欲しい要素 (今回は家を建てるのがマスト) を伝えてリリースプランニングの始まりです。
リリースプランニング
まずは与えられた条件を整理して大まかな方針を決めるためにリリースプランニングを実施します。
ここでどんな建物が必要か・土地をどのように使うかなどを話し合い、やるべきことをタスクとしてプロダクトバックログに乗せていきます。
プロダクトバックログができたらスプリントの開始です!
スプリントプランニング
ここから講師はタイムキープと詰まっている時の助言が中心となり、スプリントが終わるまで基本的に口出しをしないようにしました。
スプリントプランニングはこのスプリント (約10分) で何を作るか考えます。
プロダクトバックログの各タスクにストーリーポイントをつけていくのですがここでアイスブレイクで作成した動物たちが役に立ちます!
動物の組み立てを基準にそれぞれのタスクに相対評価でポイントをつけていきます。
こうしてスプリントバックログができたらいよいよ開発開始です!
スプリント開始!
スプリントは厳格にタイムボックスで区切られているので時間との戦いです。新卒の皆さんも試行錯誤してスプリントバックログに入れたタスクの完了にコミットしていきます。
見ていて面白かったのは、スプリントを重ねるうちに分業をしたりペアプロ (ペア組み立て?) をしたりと実際のコード開発と同じような動きを提案し実施していたところです。スプリント中絶えず声を出して互いの状況を確認するなどのコミュニケーションが活発だったのも印象的です。
スプリントレビュー
スプリントとしての時間が終わった後はスプリントレビューの時間です。
ステークホルダー役となった研修講師に今回の成果物を共有しフィードバックをもらいます。
ステークホルダーからの要望の一方通行だけでなく、新卒開発チームからも質問をして「理想の街」の要件を引き出していきます。 スプリントレビューを経て上がってきた改善点や追加の要望はタスク化してプロダクトバックログに乗せ、次のスプリントに備えます。
スプリントレトロスペクティブ
スプリントの最後にはレトロスペクティブ、振り返りの時間です。
今回はKPT法を用い、K(継続したいこと)・P(課題だったこと)・T(次に改善・挑戦したいこと)を出し合いました。
振り返りを行いチームで共通の認識を持てたら少しの休憩時間を挟んだ後、次のスプリント・スプリントプランニングが始まります!
結果
今回の研修では最終的に4スプリント回すことができました。
完成した「理想の街」がこちら!
4. クロージング
レゴスクラム講座が終わり、全てのカリキュラムが終わった後に全体の振り返りの実施と講師陣からそれぞれ講評をします。
皆さんこの研修でスクラムについて理解を深められたようでポジティブな意見をたくさんもらうことができました。
最後に写真を撮って今日の研修完了です!新卒の皆さんお疲れ様でした!
やってみて
今年の新卒研修は大部分がリモートでの実施だったのですがこのスクラム研修はチーム間でのコミュニケーションが重要だと思ったので出社してもらい対面での実施となりました。
新卒側としては出社して・しかもチームとして協力して1つの課題をこなす、というのが他の研修と違って新鮮だったらしく楽しんでもらえたと思います。講師側としても頻繁な会話があったりリモートでは共有できない「雰囲気」も味わってもらえたりと、対面で膝を突き合わせることの良さも体験してもらうことができたと思います。兎にも角にも結果として大きな問題も発生せず成功だと思います!
レゴスクラムは実施者の技術的スキルに依存せずスクラムの体験に注力できるので色々な職種の人におすすめできるスクラム学習法だと思います。
レゴの自由度が高くお題も自由に決められるので教える側も学ぶ側も楽しんで実施できます。
皆さんもぜひレゴを使ってのスクラムワークショップを試してみてください! (そして出来上がったものをシェアしましょう!)
それではまた何かの記事で会いましょう!
次の記事はBigQueryの課金モデルについてらしいです。私もBigQueryはよく使うので参考にします!