正しく安全に素早く失敗する

Adways Advent Calendar 2020 8 日目の記事です。


 

こんばんは、りょーまです。
今回は失敗について。
読み終わった時には「失敗」がポジティブワードに変わる事でしょう。

伝えたいこと

  • 人やチームは失敗から学び成長する
  • ただし、無駄で意味のない残酷な失敗も数多く存在する
  • そうならないため安全に素早く失敗しよう
  • やり方考え方

失敗とは

失敗とは、目的を果たせず期待していた成果や効果を上げられないことを指します。
単純に考えると出来るだけ避けて通りたい道ですよね。。

失敗の価値

では絶対に避けるべき事かというと、それは間違いです。
「失敗から学ぶ」という言葉は誰もが聞いた事があると思いますが、この本質的な意味を説明します。

まず、失敗とは目的を果たせなかったという単なる事実です。
この事実の裏に学びがあったのかどうかで失敗の価値が変わってきます。
ここでいう「学び」とは、失敗に至るまでの行動とその結果から得られる知見やスキルの事です。
つまり、何かやってみた→何か分かったのであればそれは価値ある失敗と言えるでしょう。
その積み重ねが目的を果たす事に繋がります。

なぜ価値ある失敗をできないのか

では、我々は日々価値ある失敗を出来ているのでしょうか。
この問いに自信を持ってyesと答える人やチームは多くないと思います。
失敗を疎外する要因を挙げてみます。

1.心理的安全性が低い

結果が大事なのは勿論です。
しかしながら、結果に至るまでのプロセスを理解していないと悪循環に陥ってしまいます。

これはダニエルキム氏が組織の成功循環モデルとして提唱しており、結果から始める(咎めたり批判したり)と上手くいかない旨を述べています。
関係(心理的安全な組織)を作る事で発言や行動が促進され、最終的に結果に繋がります。
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実体験として、異なるロール間での協同においてこのサイクルが不全になりやすいです。
「PMの要求に違和感があったけど、意見するの怖いから言われた通りに作った」
「開発チームに作って貰った機能に不満があるけど、せっかく作って貰ったからこのまま我慢して使おう」
このシーン、本来はその思いを口にして共に改善に動くべきなのですが、薄い関係値が邪魔してしまうんですよね。

2.計画や戦略が杜撰

とりあえずやってみてたくさん失敗すればいいかというとそうではありません。
目的や目標が曖昧だったり、アプローチが雑すぎると「結局何がしたかったんだっけ」状態に陥ります。
最低限、仮説(実験の元明らかにしたい事)や学びたいことを明確にした上で動きましょう。

リーンキャンバスやMVPキャンバスといった課題管理のツールを使うとコンパクトに整理できるのでオススメです。
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3.失敗の価値を言語化できていない

失敗したということは、売り上げやコスト削減といった明瞭な数値が出ない事が多いです。
故に本当は何か学んでいるはずなのにそれに気づかない事があります。非常にもったいない。
そうならないためにも失敗からの学びを言語化しフィードバックする事が重要です。
言語化する事でその失敗に価値があったという事を初めて認識できます。

4.コスパが悪い

いくら学びがあるとは言え、必要以上に時間をかけるべきではありません。
結果のインパクトを求めすぎると課題やソリューションのサイズが肥大化しコストが膨れ上がります。
何度も言うように基本的に失敗します。一発で結果は出ないです。
だからこそ早く間違いに気づき、学びを得るべきなんです。

小さなコスト小さな学びの繰り返しが正しい失敗の鉄則です。

スクラムを活用して正しく失敗しよう

具体的にどうすれば良いのか。
スクラムやってみましょう。
スクラムは正しく失敗する事をサポートしてくれる非常に優れたフレームワークです。

正しく失敗できる理由

  • チームでの活動を前提としている
    • ロール間の協同や価値基準が一致しないと機能しない設計になっている
    • (つまり心理的安全性が高くなる)
  • 計画会(スプリントプランニング)が正式なイベントとして定義されている
    • ゴールとそれを形成するタスクを明確にする
    • (つまり計画や戦略が鮮明になる)
  • フィードバック会(スプリントレビュー)が正式なイベントとして定義されている
    • 成果物をステークホルダーに見てもらう(意見をもらう)
    • (つまり失敗の価値を言語化できる1)
  • 振り返り会(スプリントレトロスペクティブ)が正式なイベントとして定義されている
    • チームの振る舞いを内省し課題や改善案を探る
    • (つまり失敗の価値を言語化できる2)
  • 以上を1~2週間のサイクルで回す
    • 必要以上にコストをかけず失敗(学び)に素早く気付ける
    • (つまりコスパが良い)

さいごに

今回はスクラムの細かい話はしませんが、このように正しく安全に素早く失敗をするためのものとして捉えると一段と馴染みやすくなるのかなって思います。
そもそもアジャイル(スクラムの上位概念)は物事が複雑で多様化してきた昨今、一筋縄では上手くいかないよねっていう半ば諦めを前提とした思想です(私はそう解釈してます)。
一方で多くの会社や組織の価値観は未だ成功一直線であるために、思想と行動にミスマッチが起きて「スクラムなんか上手くいかない」ってなるんじゃないかなと。

失敗して良いんだよ。
心からそう思える組織にしていきたいですね。
自身への戒めも込めて。


 

次は中嶋さんの記事です。