Adways Advent Calendar 2019 11日目の記事です。
http://blog.engineer.adways.net/entry/advent_calendar_2019
はじめに
どうも。
ADWAYSの自社サービス広告事業の開発部門で、今何かと話題のエンジニアリングマネージャー(通称EM)をやってます「TD」です。
マネジメントをメインの業務にしていますので、今回はそこで行った取り組みや施策をみなさんにご紹介します。
技術的な内容ではないですが、誰もが「ふーん」「なるほど」「確かに」「そだねー」と感じる事ができる内容になっているので
なにかとみなさんの参考になれば嬉しいです。
さて今回は、
あの世界のGoogleが使っているということでマネジメント業界でバズっている
「OKR」を組織に導入してみた話をしていきます。
OKRって?
OKRとは、「Objectives and Key Results」の略語です。
直訳するのであれば「目標と、そのカギとなる成果指標の集まり」で、目標とその結果をシンプルに明確化し、管理していく目標管理のフレームワークです。
達成目標・目的(Objectives)を決め、その達成目標・目的のために必要な成果指標(Key Results)を設定し進捗を、トラッキングしていくことで目標達成を促進させます。
つまり「何を達成したいのか」ということと、「それの達成度をどのように可視化するのか」ということを明示して目標達成を管理していきます。
また、OKRは企業の目標を達成するために各部署、各個人の目標と実現させる結果を明確にリンクさせる役割を持っています。
(イメージにするとこんな感じ。組織の目標が個人の目標に紐づいていることがわかります。)
※ OKRについては、昨今さまざまな書籍やWEBで説明が記載されていますので、興味がある方はぜひ調べてみて下さい。
立ちはだかる組織課題
さてここからがOKRの導入についてのお話です。
OKRの導入を検証から初めてもうすぐ2年経過しますが、OKRを導入する前の組織には以下のような課題がありました。
①明確な目標設定をしていなかった。
組織・チームの目標は設定していましたが、メンバーの目標は明確化しておらず
メンバーが組織の目標達成にどのように貢献しているのかが見えづらい状況でした。
その結果、メンバーの主体性や当事者意識が生まれづらい環境になってしまい、メンバーの成長が鈍化していました。
②目標が把握しづらく、目標に取り組みづらい環境
メンバーの目標が明確化されていなかったため、
メンバーが取り組んでいる内容が「目標をたてて取り組んだ内容」か「案件によって取り組んだ内容」か判断できず、
上司がメンバーの自主的な動きを把握しづらかったです。
また、目標がオープンにされていないため、メンバーが案件以外の業務に取り組みづらい環境になっていました。
OKRを選んだ理由(わけ)
そんな組織の課題に悩まされていたときに、OKRに出会い、そして導入していくことを決めたのですが、
世の中にはKPIやMBOなど複数の目標管理のフレームワークが存在するなか、なぜOKRにしたのか?
それは先程お話した「組織が抱える課題との相性がよかった」ことと「たくさんのメリット」がOKRにはあったからです。
メリットその1
「目標が繋がる」
組織の目標→チームの目標→メンバーの目標とリンクしていくOKRは、個人の目標達成の貢献が見える化され、
メンバーの主体性や当事者意識が生まれやすくなります。
メリットその2
「目標に集中する」
達成目標(Objectives)と、その達成目標のために必要な成果指標(Key Results)を
明確化・透明化することでメンバーが目標達成に集中できます。
メリットその3
「成長できる」
ストレッチゴールやムーンショットと呼ばれる「達成が困難な目標」を立てることによって、メンバーの成長が促進されます。
(ストレッチゴールやムーンショットに興味がある方は、ググってみてね。)
メリットその4
「連携できる」
個人の目標をオープンにすることで、メンバー間で協力することができ、かつコミュニケーションの効率化が図れます。
メリットその5(おまけ)
「トレンドにのってる感」
インテル/Googleなど大手企業の導入実績があり、
日本でもメルカリなどのユニコーン企業が導入しているのでトレンドにのってる感が出ますw
やったこと
OKRは導入が難しく必ず最初は失敗すると言われていますが、
これだけのメリットがあるのであれば、試してみる価値はあるはずだと導入検証に踏み切りました👍
OKRの導入にあたっては、いきなり組織全体へ導入を行うとカオスな状態になることが目に見えていたので、
フェーズを分けて導入していくことにしました。
エピソード1(フェーズ1):「はじめてのOKR。リーダーとMGRでミニマム検証」
まずは、MGRとリーダーの4名でのミニマム検証を行うことにしました。
ミニマム検証をやる目的は、「導入リスクの軽減」+「チームへの負荷の最小化」をし、少数で実施することにより導入ハードルを下げて、成功体験と知識の蓄積をするためです。
また導入判断ができるように、判断基準も設けました。
- 基準1:検証を通して、MGR/リーダーがOKRの運用をイメージできる
- 実施したMGR・リーダーにアンケートやヒアリングを実施する
- 基準2:目標達成に向けて、目標を管理できる
- 目標に向けての取組が実施でき、進捗率が上がっているか?をモニタリング
検証の結果。
改善点は多々あったものの、OKR実施者からのフィードバックは好感触でした!(よかった✨)
毎月のフィードバックにより目標を明確化することによって、目標の達成の意識付けができたのが非常に良かったです。
KR設定の精度が高くなかったので、達成率はKR毎にまちまちでしたが、KRの良い立て方・悪い立て方の知見は蓄積できました。
MGR+リーダーで協議した結果、次のフェーズで範囲を拡大して検証を続行することが決まりました👍
つづく・・・
エピソード2(フェーズ2):「メンバーのOKRデビュー。複数のチームで検証」
フェーズ2では、フェーズ1のミニマム検証で学んだことや問題点をもとに複数のチームでOKRを導入しました。
メンバーの中にはOKRを知らない人が多数でしたので、まずOKRを理解してもらうところからのスタートです。
全体の共有の場で、OKRのプレゼンをし資料にまとめて展開も行いました。
メンバーには2カ月ごとにOKRの取り組みについてアンケートを実施し、OKRの評価と満足度をモニタリングしました。
OKRを実施して半年間徐々にではありますが、実施メンバーの約3/4が「良い」と思うようになってくれました!(理解度もUP👍)
またメンバーがOKRに求めることも赤裸々にヒアリングし、改善の参考にして進めていきました。
ちなみに、メンバーがOKRに求めることTOP3です。
「1位」:個人の目標が組織の目標に貢献していること
「2位」:個人目標の明確化
「3位」:目標設定の納得感
目標を立てることも大切ですが、目標の達成で会社にどのように貢献できるのか?を明確にすることが大切で、メンバーが一番求めていることでした。
チームでのOKR導入検証では、ふりかえりの体系化などの課題が残りましたが、
メンバーの評価が予想よりも高かったので組織全体へのOKRの導入を進めていくことになりました。
エピソード3(フェーズ3):「OKRの浸透を目指して。組織全体でOKRを導入!」
3週目ということもあり、ある程度知見も溜まり運用ルールも固まってきたので、満を持して組織全体へのOKRの導入を行いました。
フェーズ3については、よかったこと・悪かったこと・次にやってみたいことをまとめてみました。
よかったこと |
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個人OKRには「フィードバック面談」と目標を達成まで追うフローが確立できました。 (達成できたかどうかは・・・) |
わるかったこと |
プロダクトの戦略から影響を受けるチームでは、OKRの優先度の調整が発生しました。 |
次にやってみたいこと |
業務バランスも考えなくて大丈夫・・・になるはず!(OKRに注力することができる👍) 目標達成率が高くなる。 |
これから
現在、組織全体にOKRを導入してから4週目に入って、ちょっとずつですがOKRふりかえりや個人OKRフィードバックなどの細かい改善を行っています。
また、定量的で計測しやすいKRも設定でき、OKRのベースとなる部分は導入することができました。
今後は、達成率を上げるための取り組みや、目標設定にかかるコストの削減などを実施したいです。
さらに組織外でのOKRの導入も進んでいるので、改善やサポートに関わることができればなーと思っています。
まとめ
もっと細かい問題や改善はたくさんありましたが、
全てを記載するとスターウォーズ並みの超大作になってしまいますので全体像がわかる粒度で書いてみました。
OKRを導入することによって、目標を立てて目標達成に取り組む文化の構築ができ、当初の課題は解決できましたが、
「目標達成率の改善」や、「ムーンショットな目標の設定」などまだまだチャレンジすることはたくさんあります。
今回OKRを通して、組織・チーム・メンバーがいかに認識を合わせて同じ目標を立てるかという難しさと大切さを学ぶことができました。
あわせて、あくまでOKRは目標管理のフレームワークであって銀の弾丸ではないこともわかりました。
これからも引き続き、OKRを改善していきますがそのことを忘れないようにしたいと思います。
次は金谷さんの記事です。
http://blog.engineer.adways.net/entry/advent_calendar_2019/12