皆さん、こんにちは! ADWAYS DEEEでマネジャーをやっている「TD(友田)」です。さっそくですが「プロジェクトの終活」って、皆さんどうされていますか? 実は最近、私たちのチームで 「プロジェクトクローズガイドライン」 というものを作成して導入しました! 今日は、なぜこのガイドラインができたのか、どんな内容なのか、そして実際に使ってみてどうなったかを皆さんにご紹介したいと思います! 少しでもプロジェクトマネジメントに困っている人・迷っている人の参考になれば嬉しいです。
背景:なぜ、このガイドラインを作ることになったのか?
実はこれまでプロジェクト管理について、プロジェクトの「終わり」という意識や文化があまりなく、体系化もされていなかったため、以下のような困りごとが起きていました。(きっと読者の皆さんにも心当たりがあるはずです。)
困りごと1:ゴールがぼんやり
プロジェクトの「ゴール」がはっきりしないまま進んでしまって、プロジェクトが「ゾンビ化」。気づいたらたくさんのプロジェクトが同時並行で動いていたり、誰も全体を把握できなくなっていることがありました。
「〇〇プロジェクトってどうなったっけ?」
「XXXチームは、今何のプロジェクトをやってるっけ?」
などの質問や会話が飛び交ってきたら要注意です。
困りごと2:やり方がバラバラ
プロジェクトの「終わり」までのプロセスが、チームごとに全然違っており、大事なことを見落としたり、対応漏れが発生しやすくなっていました。
「終わった!」と安堵していたら、想定外の障害が発生するなど、一度は経験があるはずです。
ということで、「やるからには、もっとプロジェクトの『終わり』を明確にして、プロジェクトの価値を最大化しよう!」ということで、このガイドラインが誕生しました。
ガイドラインの目的って?
このガイドラインの目的は、とってもシンプルです。 プロジェクトをクローズする時に、「最低限これだけはやってね、確認してね」ということをハッキリさせることです。これによって、プロジェクトの区切りをしっかり意識して、気持ちよく次のプロジェクトへ進めるようになります。
ガイドラインの効果と、チェックリストの中身をご紹介!
ガイドラインでは、 「Project Close Check List(PCCL)」 という形で、プロジェクトを終えるにあたって、やるべきチェックリストを明確化しています。(PCCLは、このブログを書きながら考えました。笑)
チェックリストには、こんな効果が期待されています!
- 「目標、達成できたかな?」「ちゃんと価値や効果が出せたかな?」って、プロジェクトの実績を再認識できる。
- 「あれ、これって見落としてない?」「忘れちゃったことないかな?」っていう、対応漏れが防げる。
- 「このプロジェクトで、どんなことを学んだっけ?」「どんな経験ができたんだろう?」って、得られた学びや経験を整理できるので、学びが最大化される。
どうですか?活用してみたくなってきましたね。
ではでは、具体的なチェックリストの項目を少し詳しく見ていきましょう!
- 1. 完了の定義チェック
- 自分たちの組織ではプロジェクトを開始するときに、「ここまでやったら完了!」という 完了の定義 を決めています。この 完了の定義 が、ちゃんと満たせているかを確認します。これは、見落としや対応漏れを防ぐためにすごく大事です。 自分達の組織で利用しているプロジェクトフォーマットをちょっとだけご紹介します。
- プロジェクト概要
- OKR or MVP
- 完了の定義
- 見込み効果
(プロジェクトの実施によりどんな効果があるのか?想定されるか?)
- ゼロ見積もり(クリティカルパス)
現時点での想定見積もりでOK。進捗とともに最新化する。
- ふりかえり
(ふりかえり実施後にリンクを貼る)
- 関連リンク
(他のnoitonページなど、関連ページのリンクをまとめる)
2. OKRや目標の達成確認
- プロジェクトを通して、「目標やOKRが達成できたかな?」「想定していた価値や効果は出せたかな?」って確認します。チームで実績を判断することで、「組織にこんな貢献ができたんだ!」って再認識できますね。(目標も見込み効果もプロジェクト開始時に決めるようにしてます。)
3. プロジェクト管理チケット(タスク)の整理 / 残タスクの整理
- プロジェクトに関するタスクをしっかり完了させて、運用タスクへスムーズに移行できるように、タスクを整理します。不要なタスクを精査・削除することも含まれるので、チームのタスク管理ボードやバックログがごちゃごちゃになるのを防いでくれます。思い切ってやらない決断をすることも大切です。 余談ですが、自分たちの組織Value(行動指針)「やめる勇気を持とう」の理念にも沿っています。
4. 振り返りの実施
- プロジェクトで得られた学びや経験を、チームの成長や改善に繋げるために振り返りを実施します。チームによって手法はお任せしていますが、タイムラインを使ったふりかえりがプロジェクトの全体像をつかみやすいので人気です。

5. ドキュメントの棚卸し
- 組織の資産として必要なドキュメント(最新のシステム構成図、ADR、手順書、ビジネス・システム仕様など)をきちんと整理して、まとめます。これは「未来の自分たちへの投資」でもあります。プロジェクトで得た知識や知見を形として残すことで、開発を効率化したり、特定の人しか知らない…なんて状況を未然に防ぐことができます。また、私たちのチームでは組織戦略として、エンジニアの資産となるドキュメント作成をKPIに掲げているので一石二鳥です。
6. 打ち上げ
- 個人的にはめちゃんこ重要だと思っています。(むしろ一番かも) 次のプロジェクトに向けて英気を養うため、できればみんなで「お疲れ様!」って乾杯したいですね!飲みニケーション全盛期を生きてきた老害としては、ノミハラにならないか、すごく心配でしたが若手もメンバーも快く参加してくれます。

実際にどうだった?活用の様子
で、実際にこのプロジェクトクローズガイドライン、どうだったかというと…
絶賛、活用されています! メンバーに実施したアンケートの回答でも、「プロジェクトクローズ実施してよかった!」 という声や、「クローズガイドライン活用してみたい」 といった、嬉しい意見がたくさん出ており。特に、「プロジェクトクローズガイドラインの共有がとても良かった」 というフィードバックもあって、ガイドラインがあること自体が、チームに良い影響を与えていることが実感できました。
「プロジェクトの終わりって、新しいプロジェクトに移るタイミングで曖昧になりがちだよね」という声もありましたが、だからこそ適切なタイミングでクローズを実施することの重要性 をみんなで再認識できました。

今後の展望
所属チームでの活用事例が増えてきて、文化としての定着も見えてきました。しかし、ここで満足せずにしっかりこのガイドラインを育てていきたいと思います。ということで、さあて今後の取り組みは。
- 他組織のチーム(プロダクト開発チーム)へ横展開と普及活動の実施
- 役割が違うチーム用のテコ入れが必要ですが、本質的に大事なことは変わらないはずです。なので、ぜひ他のチームでも終活していきたいです。
- プロジェクトガイドラインシリーズの作成
- クローズがあるのであれば・・・そう、キックオフもあります。プロジェクトを開始する上で抑えておきたいポイントをチェックリスト形式でまとめることができるはずです。プロジェクトキックオフガイドライン。乞うご期待!
まとめ
今回プロジェクトクローズガイドラインで、これまでちょっと曖昧になりがちだった「プロジェクトの終わり」に、明確な基準とプロセス ができました。
このガイドラインをみんなで活用していくことで、各チームが目標達成をしっかり確認できたり、学びを最大限に引き出したり、そして効率よく次のプロジェクトへバトンを繋いだり できるようになります。
これからも、このガイドラインをどんどん活用して、各プロジェクトの成功、そしてその先の私たちの成長に繋げていきたいと思います!