はじめに+ご挨拶
エンジニアブログを書くのがすごく久々なsndyです。
以前は1年前にXPについて書かせてもらいました。
あの頃はバリバリコードを書いていましたが、役割も代わり今はスクラムを実施しているチームのスクラムマスターをやらせて頂いてます。
スクラムマスターとして色々実施してきましたが、その中でも今回は「Working Agreement」をチームに導入した話をしたいと思います。
Working Agreementとは?
ご存知の方も多いと思いますが、チームのルールや決め事をチーム全員で同意して決めた物の事を「Working Agreement」= 作業合意と言います。
期待する効果
チームとは、複数の人が同じ目的を持ち行動するグループの事ですが、いくら目的が同じでも、考え方や価値観は人それぞれですよね?
つまり、一人一人の中にある"これはこうあるべき"、"普通はこうだろう"というものはみんな違う、まさに十人十色だという事です。
自分が"当たり前"とか、"当然"だと思っている事は無意識のうちにチームに求めてしまう事があります。これがチームに対する"期待値"というものだと思いますが、これを合わせてやるのが「Working Agreement」です。
(また、"ルールを決めると動きやすくなる"事もあります。
ルールを決めるというと、堅苦しい感じもありますが、程よい程度にはルールがあったほうが動きやすいのも事実です。
"会議をするときは、必ずアジェンダを準備しよう"というルールがあれば、アジェンダが無くて何が求められているのか、どのタイミングで議論すればいいのかが分からない!なんて事は無くなります。)
なぜ期待値を合わせるの?
例えば、友人との会話の中で次のようなやりとりがあったとしましょう。
A「明日みんなで餃子パーティーしようぜ!Bも来れる?」
B「あぁ、明日は今のところ特に予定ないから多分いける〜」
この翌日Bさんが来なかったとします。Aさんの心境を2パターンで見ていきましょう。
1.Bさんは来ないだろうと思っていた場合
まぁこんなもんだろうと思ってた。
2.Bさんは来るだろうと思っていた場合
マジか〜。。。色々話したい事があったのに。。。
この違いは簡単です。"期待値"が違うだけです。
もともと期待していて、その期待と異なった事象が起こるとそれだけメンタルへのダメージは大きく、不満を抱える事になります。
仕事でも、"これくらいはしてくれるだろう"と思っていて、そうならなかった場合はイライラが溜まったり、落ち込んだりする事があると思います。
こういったメンタルは仕事の効率にも影響を大きく与える要素の一つです。
"期待値"を合わせるのは不要な心配事を無くし、仕事の効率を落とさない・高める為という事ですね。
実際にWorking Agreementでやった事(一部)
Working Agreementについて簡単に説明したところで、実際に今のチームで実施している事の一部を紹介させて頂きます。 参考になるかは不明ですが、イメージしやすくなれば幸いです。
会議を実施する際は必ずアジェンダを準備する
これを当然だと思う人もいるだろうし、いらないだろと思う人もいると思います。
ただ、今の私のチームではこれを必須にしています。
理由は
- アジェンダが無くて、何をする会議なのか分からない
- 流れが読めず、どこで議論するのか分からない
といった意見があった為です。 人によっては簡単な会議だからわざわざアジェンダを作るほどではないな、と思う人もいますし、アジェンダが無い会議には出ないという人もいます。
メンションがついたメッセージを見たらリアクションする
社内でのやりとりにSlackを利用しているのですが、共有したい事や期日付きでお願いしたい事等をチームに投げた際、何もリアクションが無くて困りました。
見た側としては見たのでいいじゃんという感じだと思います。ただ、投げた側は見てくれたのか、気づいていないのかが分からず不安になります。
こちらも私のチームでは必須にしました。見たなら見たというアイコンをつける。ついてなければ見てないという事なのでリマインドするという感じです。
ストーリーの完了はDSでみんなで判断する
私のチームはスクラムを開発手法として取り入れていて、やりたい事をストーリーという形で切り出し開発を行なっています。
ストーリーを満たす為に必要な作業はサブタスクとして複数作成しています。
それとは別に、そのストーリーはどこまでやればいいのか?何を持って完了とするのかという事で、ストーリーに対してそれぞれゴールを設定しています。
サブタスクを全て実施したとしても、ゴールを満たせなければそのストーリーは完了に出来ないという感じです。
そんな中、以前完了したストーリーをDSで見直したところ、少し認識がズレていて、ゴールを満たせていない物が見つかりました。それまではストーリーのゴールを満たしたかどうかは個人で判断していましたが、このような問題があったので、それ以降はDSで開発チーム全員で確認するようにしました。
やってみた結果
Working Agreementに取り組んだ結果、どういった効果があったのか。
先ほど紹介した3つの例の場合はそれぞれ下記のような感じです。
アジェンダ準備
- 会議はアジェンダが必ずあるので、その会議の目的やゴールが意識しやすく、だらだらと行われるような会議は減った
- 会議を行ない得られる成果物の品質が上がった
会議には必ず目的と結果どういうものが欲しいかがあると思います。それらが明確になり、必ず用意されている為、会議はしたもののあまり成果は得られなかったというケースはほぼ無くなりました。
また、どのタイミングで集中して議論すべきかがわかるので、時間配分等が最適化され成果の品質は確実に向上しました。
見たらリアクションする
- 無駄な全体向けリマインドの減少
- 情報伝達認識ズレの減少
誰が見て、誰が見ていないのかが分かるようになったので、見た人に対してはリマインドする必要がなくなりました!@hereとかで全体向けにリマインドしなくてもよくなったので、見た人としても無駄なリマインドが減り、必要な情報に集中出来るようになったと思います。
また、「前に伝えてた●●の件だけど」「なんすかそれ?」というのが無くなりましたw
伝える側はメンションまでつけて共有しているから伝わっていると思うし、受け取る側は忙しくて内容まで見てなかったから知らないしというのがちょくちょくあったのですが、事前に個別に聞けるので、そう言った事が無くなり事故が減ったのはすごく実感します。
完了判断はみんなで
- 完了の判断ミスでストーリーの要件を満たせない事が減った
主観で出来たと判断するのではなく、みんなでこれが出来てるから出来た、これが出来ていないから出来ていないと判断出来るようになったので、"出来た"の認識がズレる事が無くなり、結果的にストーリーの完了要件を満たせない事がほぼ無くなりました。
大変だった事(大変な事)と副次的効果
Working Agreementを取り入れる上で、大変だった事と現在も引き続き大変な事、主な効果以外に出てきた効果を簡単に紹介したいと思います。
大変だった事(大変な事)
まず、Working Agreementを取り入れる上で、チームへの理解・説明が大変でした。ルールを決めるというと少し堅苦しい感じもしますし、どうやって守られている・守られていないの判断をするのか、ペナルティはどうするのか等、文化として継続していく為に理解してもらうのは今も継続して実施しているところです。
これらを継続的に改善していく為に隔週でWorking Agreementのアップデート会を実施しています。この中で、状況によって最新のルールは変わってくるので常に最新のルールになっていて、チームメンバー全員が合意を継続できるようにしています。
合わせて、Working Agreementに対する振り返りも実施していて、取り組みづらい点ややっていてよかった点等を共有し、次の改善・さらなる最適化を絶賛進行中という感じです。
副次的効果
副次的というほど副次的ではないですが、メンバーが主体的に動きやすくなるという効果もWorking Agreementには含まれていると思います。
ルールを決める事で、それ以外の部分に関しては自分達で判断出来るようになるので、都度誰かに確認を仰ぐという事をしなくても良くなりました。相談したり、判断を仰いだりするためにはある程度自分の中で説明出来るように整理したり、まとめたりする必要があって、少し抵抗がある人も居ました。
結果として動けない、となってしまっていた事もあったと思いますが、今はみんなが守るべきルールを逸脱していなければ判断できるという共通の認識があるので、動いてみて判断しようという事もしやすくなっていると感じます。
まとめ
今回Working Agreementを文化として定着させた話をさせて頂きました。
Working Agreementに限らず、「文化として定着させる」というのはとてもエネルギーが必要で、難しい事だと改めて感じました。
ただ、大切な事はそれほど多くないとも感じました。
- 自分自身の理解と信念を貫く事
- 理想とやりたい事をじっくりメンバーに理解してもらう事
- 形骸化しないような仕組み作り
これらそれぞれは色々なところで耳にしたりする事が多いと思うので、改めて書く事ではないと思いますが、とても重要なポイントであり、逆にここが出来ていれば結果は後から自ずと出てくるかなと感じています。
今回はWorking Agreementについてでしたが、今後も文化構築は必要になってくるので、自分としてはこのポイントを意識しつつ今後もチームのスクラム、チームビルディングに力を入れていこうと思います!
最後まで読んで頂きありがとうございました!同じような事をしようとしている方、そのチームメンバーの方々、何か文化構築をしようとしている方々等の参考になれば幸いです。