イイ感じなスクラムチームになってきたお話

Adways Advent Calendar 2017 6日目の記事です。

http://blog.engineer.adways.net/entry/advent_calendar_2017


こんにちは!ひよっこスクラムマスターのりょーまです。
気づいたら5年目になっており、周りが後輩だらけになってしまいました。
どんどん成長していく彼らを微笑ましく思い、また触発されている日々であります。

さて今回はそんな後輩の一人、まっちゃんが投稿したスクラムにおける4つのイベントに出てくるチームが、「この後どうなったか知りたい!」 という声が1万件くらいあったので、振返りも兼ねて記していきたいと思います。

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スクラム(アジャイル)開発をされている方々や、これからチャレンジしてみようと考えている方々の参考や、ディスカッションのネタになれば幸いです。

※エモい話が含まれるのでアレルギーがある方は注意してくださいね!


スクラムをやる目的

これは非常にシンプルで、価値の高いプロダクトをつくるためです。
表現の仕方は他にもあるかもしれません。スピードを上げたい、品質を良くしたい、等々。
とにかく、今の開発サイクルをもっとよくして、イイ感じに回していきたいんです。

それだけです。
スクラムはそのための手段で、かつ有効な手段であろうと認識しているため、うちのチームでも採用することにしました!


チームのスペック

  • スクラムチーム
    • 10人
    • 若手~ベテラン
  • スクラム暦
    • 半年くらい

デイリースクラムの様子

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で、どうなったの

まず結論から言うとイイ感じなチームになってきました。
スクラムチームのメンバー全員が口を揃えてこう言ってます。言わせてないよ。多分。
続き、読みたくなりましたよね?

では、どんな過程で、どんなイイ感じなチームになってきたかをご説明させて頂きます。


ちゃんとスクラムになってきた

スクラム経験者には共感して頂けると思うのですが、普通にスクラム回す事自体がかなり難しいです。
理解は容易、習得は困難と言われていますがまさにその通りで。。
故に途中で諦めちゃうチームが多いようですね。
では、どうやってちゃんとスクラムってきたのか。
大きく分けて三つあります。


その1:スクラムマスターがスクラムについて詳しくなる事

人に動いてもらうためにはその理由、やる意味が必要です。
それをやる事で何かが良くなるんだ!ってイメージがあるかないかで進み具合が大きく変わってくると思います。(まあこれは、スクラムに限らず何でもそうですよね笑)

そんなイメージを持たせるのはやはりスクラムマスターの役割です。そのために、とにかく勉強しました。方法はシンプルで読書アジャイルコミュニティへの参加です。
※参考書籍、参加コミュニティはページ下部にまとめておきます

もうこればっかりは、コツとか要領じゃなくてどれだけインプットできるかだと思います。たくさんインプットする事で自信がつき、自信がつくことでメンバーを思い切って巻き込む事が出来ますね。

スクラムマスターとしてある程度知識がついてきたところで


その2:メンバーがスクラムについて詳しくなる事

上記にもあるように納得がないまま進めてしまうと、やらされているスクラムになり、これは失敗する可能性が高いと思います。
という事でメンバーにもスクラムを一から勉強してもらいました。
それがまっちゃんが書いたスクラムにおける4つのイベントの内容です。
まずは基礎!ということで各イベントの目的や流れを勉強して貰いました。
この勉強方法、少し工夫したので紹介させて頂きます。以下がそのステップです。


スクラム理解ワークショップ

目的:スクラムチーム全員のスクラム基礎理解
テーマ:各スクラムイベント(プランニング、振返り、デイリースクラム、レビュー)

  • ステップ1:個人で勉強する
    • 基本はスクラムガイド。そこから書籍やweb等自由に調べる。
  • ステップ2:メンバーでペアを組み、ディスカッションをする。共通の結論を出す。
  • ステップ3:ペアを入れ替え、ステップ2と同じ事をする。
  • ステップ4:ステップ3のペアで、スクラムマスターに勉強内容の発表をする。
  • ステップ5:スクラムマスターはレビュー&ケーススタディ的なQを出す
  • 以上をスクラムイベント毎に実施(計4サイクル)
  • 一週間毎に一イベント
    ※Qはページ下部にまとめておきます

この勉強方法のねらいはスクラム理解は勿論の事、アウトプットをすることで認識のずれに気づき、そしてそれをすり合わせていくところにあります。
本を読むだけだったり、詳しい人のプレゼン聞くだけだったり、要はインプットのみだとどうしても認識に個人差が出てしまいます。
対面で意見を言う、一緒に考える、このアクションはスクラムにおいて非常に重要な文化となります。

この勉強方法はメンバーからも好評で、良いスタートを切れたなと記憶しています。
そしてなにより私自身が一番勉強になりました。何回レビューしたんだ笑

メンバーもスクラムを理解したところで


その3:実践→改善→実践→改善

あとはやってみるだけです。いくらルールを完璧に理解したところでやってみない事には何も分かりません。
各イベント、やってみるとなんかしっくりこないなーって場面に出くわすのでその都度チームで改善していきました。
基礎を勉強したことでどういったものが理想かをチーム全体が理解しているので、チームで意思決定ができようになります。
チームで意思決定をするので、意見が言えなかったり、誰かに責任が寄ったりする事がなく、心理的安全性の高いチームになってきます。
心理的安全性の高いチームなので、、と以降正のサイクルですね。


忍耐&忍耐

以上がチームのスクラムの型が出来上がるまでの大まかなステップです。
文字に起こすとシンプルですが、ここまでくるのに実質3~4ヶ月はかかりました。
時間がかかるよ大変だよという事を伝えたいのではなく、
時間をかけてやるべきだよという事をお伝えしたいです。
スクラムにしろ、その他のアジャイルプラクティスにしろ、チームの文化を大きく変える事には変わりないので、そもそもすごく難しい事です。すぐに結果はでないので、粘り強さは求められます。


ルールを守る事で柔軟性が出てくる

スクラムって何となく、自由とか、柔軟にってイメージがあると思います。実際間違ってはいないのですが、そうなるためのルールというものがしっかりと設計されています。
ルールは守るためにあります。
守れてきたら、徐々に緩くしたり、変えたりと自分達のチームに合うようにカスタマイズしていくと良いと思います。
プログラミングでも一緒ですよね。


チームワークが格段に良くなってきた

ちゃんとスクラムになってきた事が先か後かはわかりませんが、チームワーク、めちゃくちゃ良くなって来ました。


メンバーが勝手に協力し合あってる

例えばどんな行動かというと

  • 解決方法がわからない課題に対してチームで取り組む
  • 遅れている、未着手なストーリー(案件)を進んで巻き取る
  • 自分のためだけでなく、チームとしての価値を考え、行動している

これは、誰が何をしていて、どんな目的で、どういった手段で解決するかをチームのメンバー全員がある程度把握しているためできることです。

そういったことチームであーだこーだ話し合うのがスプリントプランニングというわけです。スクラムイベントに関してはこちらへ。

振返り、プランニングの様子

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チームへの貢献意欲

また、チームに貢献したい! と各メンバーが思えてる事もとても重要です。エモくなってきましたね、もうすぐ終わるので我慢してください。

いくらロジックが完璧で効率的なフローがあっても、この部分が欠けていると人はなかなか動きません。
これはどうしたらいいかというと、とにかくコミュニケーションを取るしかないと思っています。スクラムイベントの他に、1 on 1、ブレスト、ランチ、雑談、等々対面で話す機会はいくらでも作れます。
これを続けていく事で、人やチームに対して関心や興味を持ち、尊重するようになってきます。
こういった関係の質を形成した上で初めて思考行動の質が上がってきて、結果に繋がっていきます。
これはダニエル・キム氏の組織の成功循環モデルを参考にしてます。


結果的に、スピードが上がってきた

これは本当に少しずつですが、早くなってきました。要因は以下のようなものになります。

  • 知識やスキルの依存が徐々に解消されてきている
  • 見積もりが早く、正確になってきている
  • 認識のずれが減り、戻りが少なくなってきている
  • 改善サイクルが生まれてきた

楽しくなってきた

↑みたいなイイ感じのチームになってきたので、当然楽しくなってきました。
楽しいとか嬉しいって感情が働く理由としてあるのは凄く大きなーパワーになります。
また、中々一人では感じないものなので、チームっていいなって思う毎日であります。


大切にしているマインドセット

スクラムマスターの役割はスクラムを成立させ、良いチームにするところにあります。
そのために、私が大切にしている軸が三つあります。


とりあえずやってみる、ダメならやり直せばいい

シリコンバレーの企業文化でfail fastというものを良く聞きますよね。
同じ意味で、まずはやってみようっていうマインドセットです。
勿論、何でもかんでもやって無駄な時間を過ごせとまでは言わないですが、無駄を経ることで最適・最高ってものに近づけると信じてます。
これはしつこいくらいに言ってます笑


振返りは手段、改善が目的

振返りをただやるのではなく、実施~結果を出す事を大切にしています。
振返りをして、問題提起をするまでは良くある事なのですが、その先放置って結構あることだと思います。
そうならないためにも、できる計画を立て、少しずつでも成果物を出していく事が大切だと思います。


チームのため、そして自分のため

チーム開発において、チームのためを考える事は絶対外せません。
が、それだけだとモチベーションが上がり切らないですし、厳しく言えば失敗の言い訳にもできちゃうわけです。
なので、自分のためにもなるかという観点でメンバーの目標を一緒に考えています。


さいごに

ここまでいろいろ書かせて頂きましたが、スクラムマスターとしてもひよっこですし、チームとしてもまだまだ至らないところだらけです。
来年は堂々とうちのチームすげーぞと言えるように、今後の目標をふわっと宣言し(まだチームで話してないので)、お開きとさせて頂きます。

  • よりスピーディにしていく
  • よりユーザのニーズに応える
  • よりチームにあったスタイルに変えていく
  • より楽しくする
  • にわとりになる

ここまで読んで頂きありがとうございました!
明日以降もアドウェイズのアドベントカレンダーをお楽しみください!


参考書籍、参加コミュニティ


スクラム理解Qリスト(一部)

  • スプリントプランニング

    • プロダクトバックログとスプリントバックログの違いを説明してください(責任者も問う)
    • スプリントプランニングが毎回時間通りに終わりません。考えられる要因を挙げてください。
    • 中途半端に終わった↑の状態でスプリントをスタートしたらどうなると思いますか。
    • スプリントごとで設ける目標の事ををなんと言いますか。また、なぜ必要なのでしょうか。
    • 良いスプリントプランニングとはどういうものでしょうか
  • スプリントレビュー

    • スプリントレビューに招待するステークホルダーはどんな人を呼ぶべきですか
    • スプリントレビューを行なってみたところ、有意義な場になりませんでした。考えられる問題点を挙げてください。
    • スプリントレビューで得られる事は何ですか