開発チームがTableauを使って営業部に媒体分析を推進して、データを用いた事業貢献をしようとしている話

こんにちは!府金です!
相変わらずキャンプにどハマリしていますが、2021年よりは回数が少なくなりました😂
今冬は薪ストーブ導入を検討しております🪵🪓
最近はキャンプ人口が増えた分、事故も増えているので気をつけて楽しんでいきたいと思います。

さて今回は「開発チームがTableauを使って営業部に媒体分析を推進して、データを用いた事業貢献をしようとしている話」について書きたいと思います。 BIツールの中でもポピュラーなTableauですが、導入企業が非常に多いですね!

以前もGrafanaについて書かせて頂きましたが、自分はBIツールが好きです!

Tableauとは?

タブローと呼びます。
数あるBIツールの中でも人気なツールであり、非エンジニアの方でもクリックやドラッグアンドドロップなど直感的な操作によって簡単に可視化をすることができます。

データドリブンやグロースハックが求められる中で、直感的に操作も分かりやすく幅広いデータソースに対応できるため、導入企業が続々と増えているようです。
もちろん弊社でも導入をしております。

背景

私は現在「JANet」というASPに携わっております。 アフィリエイト広告を配信する上で、JANetには提携している「広告主」と「媒体」が存在します。 今回はTableauを使用して、営業部に媒体分析のためのダッシュボード推進していく過程をお話したいと思います。 本記事を読むことで、開発部と営業部の連携や、営業部へ分析活動推進の参考になれば嬉しいです。

そもそもTableauを利用した営業活動や媒体の分析業務は、営業部の媒体運用の方が行っています。 開発側には営業現場ほどの分析知見はありませんでしたが、BigQuery上の大規模データを扱う機会は多く、分析のデータソースに触れる機会は多くあります。

取り組んだこと

今回は実業務に近い内容のため、実際のダッシュボードなので内容は見せられませんが進め方やアプローチの仕方をメインにお伝えできればと思います!
また、システム的な内容は省略致します。

ダッシュボード作成と先行ユーザーの選定

まずは求められた数値を表示をするTableauのダッシュボードを作成しました。
弊社ではBigQueryで多くのデータを管理しており、データソースとして利用しています。
TableauでもBigQueryを使用することが可能で、データセットをそのまま読み込んだり、カスタムクエリを書くことが出来ます。

最低限の機能を詰め込んだダッシュボードが完成し、一部の媒体担当に提供しました。
今回はベテランメンバー1名、若手メンバー1名を選出し実際に使ってもらいました。
良いフィードバックや提案を得るためにもちろんベテランメンバーを巻き込むメリットは大きいですが、人によっては我流のやり方が固まっており新しい手法を受け入れ難いというデメリットもあります。 フィードバック目的で時間を確保した場合には色々意見をいただけますが、その後に恒常的に使用してもらえるわけではありません。
そんなときに若手メンバーも同時に巻き込むことをおすすめします。
ベテランと比べて分析スキルに差はあるものの、自身のやり方が固まっていないため、新しい手法を受け入れやすいというメリットがあります。
人による差はありますが、検証の為使用するユーザーを選出する軸の参考としてもらえると嬉しいです。


 

数値ズレ問題

進めていく中で最初にぶつかった壁は「数値ズレ問題」です。
分析のために一番重要なのは数値品質のはずなのにASPの成果を表す数値がズレていました。

普段からCV数、売上数値などを見る機会は少なくありませんが、営業現場の知見に乏しく、発見が遅れました。
正しい数値を確認しようと管理画面に数値を見にいくも、項目によってはどの数値が正しいのか分からない状態でした。

★解決方法

正直これと言って画期的な解決策はありませんでしたが、一先ずは数値品質の軸となる管理画面、他Tableuダッシュボードを見つけ、逐一比較することで数値担保を行いました。
まずは「これは絶対に正しい」と思える比較軸を見つけることが大切だと思います。
また、現在ではデータソース管理にDataformを使用しています。
データソース自体にテストコードを書くことが出来るため、品質担保に向けた施策も検討しています。


 

ダッシュボード速度遅すぎ問題

数値ズレを修正後、ぶつかった2つ目の壁は「ダッシュボード速度遅すぎ問題」です。
Tableauは非常に多くのデータを処理することが出来ますが、多くのデータを処理するゆえに時間がかかり、ストレスに繋がります。 今回作成した時点では約10,000,000件のレコードを読み込んでおり、最初の表示に1~2分、項目のフィルタに50秒、ソートに10秒など至るところで時間がかかっておりました。 今回特に考慮不足だったのは、開発側と営業側のPCスペックに差があったことです。
開発側で作成した時点では「まあ許容範囲だな」と思った箇所でも、営業側のPCでは使い物にならないほど影響があったりします。

今回もダッシュボード作成時点では気にならなかった速度も、実際に使ってみてもらうと動作が非常に遅かったです。
また、実現したい分析方法としての要件は揃っていたので「速度は二の次」くらいに思っておりましたが、全くそんなことはありませんでした。
よほどインパクトのある価値に繋がらない限りは速度問題は大きな足かせになり、恒常的に使ってもらえることはありません。(相手の好意は除く)
速度は正義です。

★解決方法

集計方法の変更をしました。
主に月別と時間別のビューを表示していたのですが、月別は専用のデータソースを準備しました。
これまですべて時間別のデータソースを集計していたものを月別で事前に集計することで、扱うレコード数を約10,000,000件 → 約80,000件とかなりの削減を実施することが出来ました。
月別ビューと時間別ビューのデータソースを分け、必要のないレコードを削ることでかなりの速度改善に繋がりました。


 

使われない問題

数値品質も整い、速度も早くなったダッシュボードの次なる壁は「その上であまり使われない」問題です。
問題を突き詰めた結果、「あまり使い方を理解してもらえていない」に繋がりました。

そして、正直なところ自分もそんなに分かっていませんでした。
このダッシュボードを使って、どう分析してどう改善に繋げるのか?をちゃんと掘り下げず、 見たい数値を見れるだけのダッシュボードとなっていました。

良いものを作りたいのであれば、本来は「自分が自信を持って使える」必要があるのに「営業部にいるわけではないから、分析知見に乏しい」を言い訳に持っていた気がします。
これをきっかけに使われるための施策を検討し始めました。

★解決方法

施策として、分析のための「ユースケース提供」を行いました。
これは実際に媒体担当の方が分析を行っているケースを手順化したものです。
媒体担当にヒアリングをしつつ材料集めをし、ドキュメントにまとめてダッシュボードと併せて使用できるものを作成しました。
非常にシンプルな施策ではあるものの、簡単な分析知見でも体系化されていないものも多く、今回のようにマニュアル化することで、誰でもわかりやすいアウトプットにすることができました。
同時に自身の分析知見も深めることができます。


 

結論

まだまだ道のりは長いものの、ダッシュボードは徐々に使われ始めています。
新しいソリューションの啓蒙活動や浸透は、一朝一夕でなるものでは無いので引き続き丁寧な対応を心がけていきたいと思っております。
今回は経験談ベースでつらつらと書いてしまいましたが、「分析ダッシュボード推進」におけるポイントを下記に書いておきます。

  • ベテランと若手を両方巻き込む(人数は問わないがバランスよく)
  • 数値を扱う場合は、数値品質の軸を見つける
  • ダッシュボードにおいて速度は命、機能良くても使われづらい
  • まずは自分がそれを使えるようにする(すべてに言える)

 

感想

今回のような営業部への啓蒙活動は初めてで色々戸惑うことが多かったです。
これまであまりコミュニケーションを取ることが無かった営業部の方にも非常に良くしてもらい、なんとか進めることが出来ています。
開発部と営業部の連携なしに進めることは出来ないプロジェクトでもあるので、「使ってもらうお客さん」ではなく、「一緒に作る仲間」として信頼関係を作って行ければと思います。