プロダクトマネジメントの成果を最大化するためのコミュニーケーション術

こんばんは、りょーまです。
最近、もうすぐ二歳になる娘とコミュニケーションが取れるようになってきました。
私が冷蔵庫を開ける度に「じゅーちゅ」ってキラキラした瞳で要求してくるんですよね。
目先の喜び(じゅーちゅを飲める娘、パパありがとうと懐かれる私)を優先するのか。
中長期的な健康被害を防ぐこと(そして理不尽にも蔑まれた目で見られる私)を優先するのか。
彼女のマネジメントには大変悩んでおります。

はじめに

今回はプロダクトマネジメントを推し進める中でのコミュニケーションの重要性についてピックアップしてみようと思います。
プロダクトマネージャーの方は勿論、チームや組織で仕事をしているあらゆる方々と一緒に考えてみたいテーマになっております。
皆様の振り返りも兼ねて一読頂けたら幸いです。

プロダクトマネジメントは複数の領域を機能させることで成立する

プロダクトマネジメントとは

ユーザー(顧客)にとって価値あるモノや体験を提供し、また同時にビジネスとしても成立させるためのマネジメントのことです。
そのためには、大きく分けて三つの領域を機能させる必要があります。
PMトライアングル 引用:https://productlogic.org/2014/06/22/the-product-management-triangle/

プロダクトマネジメントトライアングルと称されるこの三角形は開発、ビジネス、ユーザー(顧客) から形成されています。
内容が全く異なるこれら三領域をうまくまとめ相互的に作用させることで、プロダクトマネジメントが上手く進み、結果として良いプロダクトを提供できるようになると言われています。

開発はエンジニア、ビジネスは営業、ユーザーは(UX)デザイナーが主務としているのが一般的ではないでしょうか。
それぞれの役割を持つ関係者と共にこのトライアングルを機能させようとすると多くの場面でコミュニケーションの問題が発生します。
さて、どう向き合うべきかというのが今回の主題です。

コミュニケーションにおける問題

まずは問題の本質を見極めましょう。
これは意外とシンプルで、基本的には以下の二つだと思っています。

  • 自分の(領域の)価値観を押し付けてしまう
  • 相手の(領域の)理解をしようとしない

要は自分の利益や成長を優先したいが余り、相手の利益や成長を置き去りにしてしまうことがあります。
そしてそれは相手の事を理解できない/しようとしないことが大きな要因です。

そんな状態が続くとさらに関係は悪化してしまいますよね。

  • 感情的になってしまい論理を無視してしまう
    • 本当に大切なことを見失ってしまう
    • とにかく自分の考えを主張しようとしてしまう
  • (必要以上に)論理的になってしまい感情を無視してしまう
    • 相手の気持ちや思いに触れようとせずただ論破してしまう
  • 衝突を避け本音を隠してしまう
    • どうせぶつかるくらいならと、本当に伝えたいことを我慢してしまう
    • 「妥協」することがコミュニケーションの主軸になってしまう
  • コミュニケーションそのものを避けてしまう
    • そんなコミュニケーションなら意味がないと、そもそもの機会すら無くしてしまう
    • 組織やロールごとに分断が発生する

対立

本当は皆良いプロダクトを作って、ユーザーを喜ばせて、お金儲けをしたいはずなのに。
良くしたいという根本の思いは同じはずが、コミュニケーションが起因で物事の進みが悪くなることは本当に多くあることです。

では、どうしたら上手なコミュニケーションが取れるのでしょうか。

win-winを見つけよう

そもそも、人間は誰しも自分や自分のチームが大切です。
もうこれはそういう生き物だと認めた方が案外楽だと思います。
そして、だからこそ相手と協力するべきです。
ひとり(一部領域)で出来ることには限界があります。
複数の観点やスキルが混ざり合うことで価値は増大するものです。
良い意味で互いを利用し合うべきなんです。

そのためにwin-win(利害関係が一致) を見つけましょう。
かの有名な「7つの習慣」にあるように、いかにしてwin-winの関係を築くかがコミュニケーションを円滑に進めるために非常に重要になってきます。

あえて相手の土俵に立ち入る

「役割分担」の名の下に、相手の専門分野には足を踏み入れないという暗黙の了解的なものが存在していると思います。
相手のメンツを立てるとか、他領域のことはわからないからとか、様々な理由があるでしょう。
しかしながら、win-winを見つけるためには相手のことを知らないといけません
そのために思い切って相手の土俵に入ってしまうことを私は推奨します。
もちろん相手の仕事や振る舞いそのものには十分に敬意を払った上で、あくまでもあなた自身が相手のことを知る/理解するために練習させてもらうイメージで良いです。
主務は別にあるのですから、マスターする必要はないです。

例:エンジニアが営業の会議に参加してみる

これは私(エンジニア/ユーザー領域を専門)が実際に行っていることでもありますが、営業の会議に参加させてもらっています。
社内の会議はもちろんのこと、取引先との会議にも同行させてもらっています。
どのような温度感で数値の話をしているのか、顧客からはどういった価値観のもと要求が生まれてくるのか。
実際に現場に出て聞いてみると色々な気づきがありますし、何より相手(営業)に優しくなれます。
それは営業活動の大変さや難しさを多少なりとも理解することができるからです。
そしてきっとそんな私に対して「理解してくれている/しようとしてくれている」という気持ちになり、信頼関係の構築に繋がります。
これは割と感情的な話で、自分のことに興味/関心を持ってくれる人を嫌がる人は少ないと思います。
(その後、別の会議にも積極的に声がかかるようになりました)

ただ、相手の土俵に入ることは正直勇気がいることですよね。
なかなか最初の一歩を踏み出せないと思います。

たった一人の仲間を作ることから始める

いきなり大きく動く必要はありません。
まずは最初の仲間を作りましょう。
ゲームや映画でも冒険の始まりには主人公の考えや意志に賛同してくれる最初の仲間が存在しますよね。
それと同じように自分のやりたいこと考えていることに共感してくれそうな人をたった一人でいいので探してみましょう。

そしてその人と共に、少しずつ行動に起こしてみることが重要です。
「ビジネスに関心があるのだけど、数値の中身を少し教えてくれないかな」
「エンジニアが普段している業務内容を簡単にでいいので共有してくれないかな」
「デザイナーが行っているインタビューの様子を見させてもらっても良いかな」
どんな些細なことでも良いので、行動に移しましょう。

これは言い換えると、相手を自分たちの土俵に立ちやすくすること(誘ってみるとか)もとても重要です。

一緒にやることで価値観が中和される

教えてもらう/見させてもらうは比較的簡単にできるのですが、それだけだと理解や共感には一歩及ばないことが多いでしょう。
最終的には一緒に手や頭を動かすことで元は異なっていた価値観が程よく混ざり合い、双方納得いくような定義や表現ができるようになってきます。
(価値観が中和されるイメージ)

例えば、一緒にペルソナやジャーニーマップを設計してみたり、OKRを考えてみたり、開発物のMVPを考えてみたりすると良いでしょう。
もし、エンジニア都合だけでMVPを考えるとそれはただただ小さく淡白なものになる可能性があります。
もし、営業都合だけでMVPを考えるとそれは途方もない年月がかかる機能になる可能性があります。
一緒に考えることで、実用最小限(ほどほどに作りやすく、ユーザーに利用価値があり、結果的に収益にも繋がるかもしれない)な着地点を見い出すことができるでしょう。

チームでペルソナに向き合うための3つのポイント - Adwaysエンジニアブログ

共に考え、共に創る

コミュニケーションを適切に取ることで、なぜ相手がそれを期待するのかが少しずつ分かってきます。

  • なぜエンジニアが並列で開発をしたがらないのか
  • なぜ営業がスピード(期日)を求めるのか
  • なぜデザイナーが実際のユーザーに会いたがるのか

自分の土俵にだけ立ち止まっているとなかなか気づけないことです。
相手を理解することから始め、win-winを見い出し、共に動くことで、本当の意味で協力や助け合いが生まれてきます。
こうなってくるといよいよ仕事が楽しくなってくるのではないでしょうか。

さいごに

プロダクトマネジメントに限らず、組織で仕事をする上での問題は90%くらいはコミュニケーションが起因していると思ってます。
それくらい重要なことですが、日々の業務や具体的な成果追求に忙殺され蔑ろにしがちなものですよね。
問題やモヤモヤを抱えている方は一度立ち止まり「コミュニケーション」に関して向き直ってみてはいかがでしょうか。
そして勇気を出してその相手に声をかけてみましょう。
「相手」ではなく「仲間」と呼べる日がきっと来るはずです。