こんにちは!府金です!
リモートワークも1年半と慣れと飽きを感じる中、デスクワークによる肩コリが悪化しました😋
レントゲンを撮ったら、完全にストレートネックでした。。
リモートワークも続きそうなので継続的にケアをしていきたいものです😭
さて今回はVSM(バリューストリームマッピング)について書きたいと思います!
ここ数年で耳にする言葉でしたが、、最近は細かい箇所でも活用するようになったので紹介したいと思います。
VSMとは?
もともとはトヨタ生産方式における手法で、自動車開発における「モノと情報の流れ図」という形が始まりのようです。
近年ではソフトウェア開発にも取り入れられ、「企画」から「リリース」までのプロセスを可視化し、改善することに取り入れられています。
VSMで何ができるか?
ソフトウェア開発では、「企画」〜「リリース」のプロセスを可視化し、「ムダ」や「ボトルネック」の判断材料をもとにプロセス効率の改善します。
ソフトウェア開発に限らず、「始まり」〜「終わり」の流れがある事には汎用的に実施することができそうです。
- 実施例
- ソフトウェア開発(特定の案件のみのバリューストリーム)
- 目標設定(部署、チームがOKRを作成するまでのバリューストリーム)
- etc...
VSMで用いられる基本用語は以下になります。
用語 | 説明 |
---|---|
LT(リードタイム) | プロセスが次ステップに移るまでに要した時間の合計(PT+WT) |
PT(プロセスタイム) | 実行時間。実際にそのプロセスを行った時間 |
WT(Wasting Time) | 待ち時間。プロセスが完了する中で発生した待機状態の時間 |
%C/A : 完成と正確性の割合 | 上流プロセスから受け取ったものが手直しせずに使える割合 |
※「%C/A」は各工程でのどの程度手戻りしているかなどを示す。今回は登場しない。
「プロセス効率化」=「LT(リードタイム)」を減らすことです。
方法としては2つあり、「PT(実行時間)」を減らすか、「WT(待ち時間)」を減らすかになります。
どちらを優先的に減らすべきか?の観点として「ECRSの原則」という考え方を用います。
~ECRSの原則~
用語 | 説明 |
---|---|
Eliminate(排除) | そのプロセスは本当に必要な業務かどうか |
Combine(結合) | 作業分担をしすぎて、逆に待ち時間のムダを発生させていないか |
Rearrange(交換) | プロセスの順番を入れ替えることで効率化を測れないか |
Simplify(簡素化) | 作業を簡易化することで効率化できないか |
E→C→R→Sの順番に改善を行うのが良いとされています。
開発現場でエンジニアが、開発環境の効率化として作業の自動化や簡易化を行うのが「Simplify(簡素化)」に該当します。
VSMを用いらずとも普段から継続的に現場でやっていることです。そしてその改善は主に、作業時間(PT)を減らすことを目的にした改善が多いです。
そのためVSMではWT(待ち時間)から優先度高く改善をします。
WT(待ち時間)は、VSMの様に一連の流れを可視化しないと気づくのが難しい為、改善がしづらい為定期的に行うことが重要です。
また、VSMは「全体最適化>部分最適化」ということを意識しましょう!
プロセスやフローの一部分にフォーカスするのではなく、その一連の流れの始まりと終わりを意識する視野で考えましょう!
何をやったか?
今回はソフトウェア開発ではなく、目標設定(OKR)フローにおいてのVSMを実施しました。
弊社ではOKRで目標管理をしています。
部署OKR→チームOKR→個人OKRというフローで作成をしており、部署の方針決定や目標値作成から、個人も目標まで落とすのにそれなりに時間を掛けています。
実際にどの程度掛かっていたか?を具体的に把握していなかった為、VSMの出番!と思いました。
今回は前四半期のOKR設定期間をVSMで可視化し、改善策を出して、後四半期のOKR設定時に実施しました。
所属部署の OKR 内容はこちらの記事にも書いてます。
興味がある方はこちらの記事も見てください!
参加者
- OKR作成の流れを把握している人(LT、PTを計測できる人)
- 今回は部署マネージャー、チームマネージャーと実施しました!
ツール
- Miroを使用します
- リモートワークでなければ、対面かつ手書きでやるのも面白い
対象期間(スコープ)
- 部署方針検討〜個人OKR作成
手順
簡単なサンプルと一緒に説明していきたいと思います!
1.プロセスを可視化し、時間を計測する
- 方針の検討開始〜個人OKR設定完了までを書き出す
- 実際に開始した日付、実際に掛かった時間を分かる範囲で書き出す
- ここが重要。細かすぎなくて大丈夫、Day / Hourくらいの粒度でOK!
- 絶対的な精度は必要ないが、LT及びPTが計測できないと始まらない
- Miroを使用しているので、まとまっている様に見えますが、ホワイトボードや付箋で書き込んでやるのも全然ありです!
2.気づき、疑問を付箋に書く
- 可視化したプロセスから問題になっていそうな箇所やボトルネックと感じる箇所を付箋に書き出します
- まずは問題かどうかは深く考えなくてOKです気になる点はどんどん出しましょう
- 例
- チームによってOKR作成の時間にバラつきがある
- チームによってOKR作成を開始する時期がずれている
- 部署OKRとチームOKRの作業が前後している
- チームOKR決定から個人OKR作成着手までに時間が空きすぎ〜
- 個人OKR作成時間が人によってバラつきがある
- etc...
3.問題と思われる箇所の原因や根拠を突き止めます
- 気づき、疑問を付箋書けたら、その原因を深堀りします
- 理由によってはLTやWTが掛かっていたとしても問題とならない場合もある
- 逆に原因や理由が誰もわからない箇所は、誰も気にしておらず問題である可能性が高いです
- 例
- チームによってOKR作成の時間にバラつきがある
- 決める内容の深さに差がある
- 参加人数が多く、対話に時間が掛かる
- チームOKR決定から個人OKR作成着手までに時間が空きすぎ
- 急な対応が発生し、そちらを優先した
- 作成に十分な時間を確保してあげていない
- チームによってOKR作成の時間にバラつきがある
4.発生した問題に優先順位を付ける
- 議論もしくは投票形式などを用いて優先度を決めましょう
- ここで「ECRSの原則」の出番!
- E→C→R→Sを意識して優先度を決めよう
- 減らすべくはいつでもWTからです
- 無理に全て付ける必要はないです!TOP3を決めましょう!
- E→C→R→Sを意識して優先度を決めよう
5.TRYを決める
- 優先度が決まったら、実際の改善策や行動を決めます
- すぐに動けるものや、次のOKR決めから実践する改善策を考えます
- ECRに該当する問題であれば、「作業をやめてみる」、「一緒にやってみる」、「取り組む順序を変えてみる」などの単純な行動によってすぐに行動が見込めるものもあります
- まずは動きやすいところから取り組みましょう
やってどうだったか?
見つけた問題
- チームごとにOKR作成のPTに差がある(掛けているコストに差)
- チームOKR作成完了に最大6日間の差が発生している
実施した改善策
- アジェンダを共通化し、チームOKRで話される情報の粒度を合わせる
- チームOKR作成、個人OKR作成の時間を事前に確保し、集中できる環境を提供する
今回はチームOKR作成の問題にフォーカスし、4つのチーム全てで改善策を実施しました。
結果(前期比較)
チーム | 全体LT | チームOKR | 個人OKR |
---|---|---|---|
チームA | 2day削減 | LT:3day増加 PT:変動なし |
LT:6day削減 PT:変動なし |
チームB | 5day増加 | LT:1day増加 PT:3h増加 |
LT:5day削減 PT:5day削減 |
チームC | 10day削減 | LT:1day削減 PT:5.5h削減 |
LT:4day削減 PT:変動なし |
チームD | 2day削減 | LT:4day増加 PT:0.5h増加 |
LT:11day削減 PT:4h削減 |
合計 | 9day削減 | LT:7day増加 PT:2h削減 |
LT:26day削減 PT:5day4h削減 |
※実際の4チームの検証結果になります。サンプル画像のチームとは関係ありません。
※全体LTが増加しているチームは合間のWTが増加したパターン
結果としては、LTだけで見るとチームによって増減に差がありました!
ただ、作成されたOKRの質や議論に掛ける時間は以前よりも統一された事が分かりました。
感想
最後まで見て頂きありがとうございます!
VSMは自由度と汎用性が高いため、最初に特定の業務にスコープを絞るなどするのが良いと思います。
またVSMはあくまで、プロセスを「可視化」するだけなので、ボトルネックを問題と捉え改善行動までして初めて価値があります。
これまでフローを見直す機会がなかった方、作業の効率化や自動化など部分最適化はやりきってしまった方など、実施してみることで新たな問題が見えてくるかもしれません。
ぜひチームでやりやすいやり方で実施してみて下さい!