お久しぶりです。アドウェイズの小松です。前回クリスマスイブに記事を書いてから半年ちょっと、季節は冬から夏に移り変わりました。
最近、ヘルプデスク方面に軸足をおいて、マネージメント業務を行っているのですが「イケてるヘルプデスクってどんなかなあ」と考えることが多くなりました。
正確にはイケてるヘルプデスクチームとはなにか?ですね。
「イケてる」の定義は人によって様々だと思いますが、今回のブログでは「コミュニケーション」をテーマにイケてるチームを考えてみました。
- コミュニケーションって難しい
- 不確実性の発生
- 情報の非対称性
- 限定合理性
- カレー作りの寓話
- どうすりゃいいの?
- 情報はなるべく同時に展開する、文章に残す
- 感じたことはちゃんと言う
- 心理的安全性
- 締めくくり
コミュニケーションって難しい
さて、日々お仕事をしていると、仲間と連携をしながら動いていくわけですが、そこで重要になってくるのがコミュニケーションだと思います。
例えば「受けた問い合わせを専門知識のあるメンバーに引き継ぐ」といった作業一つ取っても、状況をできるだけ正確に伝える必要があるのですが、これが意外に難しかったりします。
不確実性の発生
突然、出てきたワード「不確実性」ですが、これは何かというと
曖昧なもの、まだ決まっていないもの
になります。先程の「受けた問い合わせを専門知識のあるメンバーに引き継ぐ」も曖昧な情報で引き継ぎを行ってしまうと不確実性が発生しちゃったりします。
二クラス・ルーマンさんが言うには「人間のコミュニケーションの不確実性が3つの不確実性から来ている」とのことで
- 他者理解の不確実性:人は他人や事象を完全には理解できない
- 伝達の不確実性:コミュニケーションが到達するとは限らない
- 成果の不確実性:仮に理解されたとしても予想されたように行動するとは限らない
なんかこう「言われてみればそうだよね」といった内容だと思います。
広木大地さんが書かれた「エンジニアリング組織論への招待」という本で学んだのですが、コミュニケーションの不確実性が発生すると「情報の非対称性」と「限定合理性」が生み出されてしまいます。
情報の非対称性
情報の非対称性とは同じ目的を持っているチームでAという情報を持っている人と持っていない人がいる状態です。
例えば、上長が把握してる情報をチームメンバーが把握していない、また逆に現場で把握している情報を上長が把握していない、みたいな状態です。
人は正確に自分のことを他人に伝えることは、不可能なので、ちゃんと伝えているつもりでも、多少の非対称性は生まれしまいます。
「えー!○○って言ったじゃん!」とか「まさか△△すると思わんかった。。。」みたいなことって、無くならないですよね。自分が思っている以上に他人への情報伝達って難しいです。
限定合理性
限定合理性とは、元は人の認知力に関する用語のことで、持っている情報や処理する能力、かけた時間などで合理的な行動が制限されること意味します。
例えば、自分が苦手な分野の作業を依頼されたとき、アウトプットの品質を考えると、工数を大きく取りたくなりますよね。でもそれは作業をお願いした人からみたら「時間かかってるなあ。。」って思われるかもしれません。
依頼者は納期を考えて速度が欲しい(依頼者側の合理性)作業者は品質を考えて時間を使いたい(作業者の合理性)両者の意向が違う方向に合理的に働く結果、認識にばらつきがでてしまうんですね。
カレー作りの寓話
コミュニケーション不確実性を具体的な例で示した寓話があります(これも「エンジニアリング組織論への招待」から引用しちゃいます)ちょっと長いですが、分かりやすいので是非、目を通してほしいです。
パーティに来るみんなのためにカレーを作りましょう。そう言って、ボブとエバは2人でカレーを作り始めた。
ボブは、どんなカレーにするかは僕が決める。
カレーの代金は僕が出すから。エバは料理が得意だから
僕が指示するようにカレーを作ってくれよと言った。エバは了解し、材料とレシピが来るのを待った。
ボブはどんなカレーにするか悩んでいて、料理も得意じゃないのでレシピの書き方も得意ではなかった。エバは、とりあえずご飯は必要だろうと考え、お米を炊き始めた。そしてボブがようやく書き上げたレシピを見て、こう言った。
「このレシピは正確じゃない。香辛料の分量を決めてもらわないとカレーはできないわ」ボブは香辛料の分量がどんな味になるのかわからなかったが、パーティは近いので、「適当に決めてくれよ」と言い捨てた。
しばらくして、ボブはパーティの客からライスはターメリックライスじゃないと嫌だと言われたことを思い出した。そしてエバに「ライスはターメリックライスにしてくれ」と頼んだ。エバは「もうご飯は作り始めてるし、ターメリックライスにするなら早く言ってよ」と怒り始めた。
ボブは「ターメリックライスじゃないとダメだ」と言った。エバはライスが炊きなおしになるが、仕方なくボブの提案を受け入れた。
パーティ目前になってもご飯は炊けない。
それにカレーもターメリックライスよりも白ご飯に合うように作ったから、味にバランスもめちゃくちゃだ。それを知ってボブは激怒し、「パーティに間に合わなければ、カレーを作る意味がないじゃないか!それでも料理人なのか!」と言い捨てた。
エバはその言葉に怒りを覚えて、あなたがターメリックライスにしろって言い出したり、レシピを作るのが遅かったから遅れたのだと抗弁した。
味の整っていないカレーと雰囲気の悪くなった2人を見て、パーティは興ざめに終わった。
ネタ感が強い内容ですが(こんなにキレイにトラブルことってそんなにないはず)コミュニケーションの不確実性がめっちゃわかりやすい例かなあと思います。
ボブから見たら「米炊く前に一言いってくれ」って思うでしょうし、エバから見たら「後出しすんな、最初から言え」って思うと思うんですよね。お互いが雑に仕事をしてることで発生しているトラブルだと思います。
どうすりゃいいの?
はい!コミュニケーションの不確実性をガンガン話して、困ったことばかりにフォーカスを当ててましたが、解決編です!
情報はなるべく同時に展開する、文章に残す
例えば、現場に作業依頼をするとき、個別で話をすると、Aさんに話したこととBさんに話したことが微妙にニュアンスがズレたりします。また、Aさんと話したときに出なかった質問をBさんがしてきたらどうしましょう?Bさんに回答すればAさんはその情報を持っていないので非対称性が発生しちゃいます。
こういうことが起きないよう、関係者はなるべく集めて一回で説明できるようにする。もしどうしてもBさんに対して個別で話す必要があるのならば、資料を作って誤差がでないようにする。Bさんの質問の回答も文面化して「Bさんから質問があったので、こういう内容で返答してあります」みたいにフォローするといいのかなって思います。
コストが高いかもしれませんが、Bさんの質問に対する回答のために15分だけチームメンバーとMTGしてもいいかもしれないですね。
感じたことはちゃんと言う
ボブとエバの話ではないですが、コミュニケーションロス(言ってくれればよかったのに〜!)を防ぐためにツッコミ(指摘)を入れる必要があります。
他人を指摘するのって結構ストレスですよね。キレられたら嫌だし。。
ただ、言わないでトラブルが起きてしまうのは残念なことだと思います。「この違和感は自分だけが感じるものかもしれない」と思っても言った方が良いと思います。言ったあとに自分だけが感じたものだったとしてもそれはそれでOKだと思います。
ただし、指摘をする以上言い方は結構大事かなと思います。強く否定するような感じではなく、意見として話すような言い回しができると、良いかもですね!
心理的安全性
先程の「他人を指摘するのって結構ストレス」というのは、割と誰でも感じることかなあと思っておりまして、、これが中々難しいです、キレられたら嫌だし。。(2回目)
さて、そういう発言によるストレスが少ない状態のことを「心理的安全性が高い」状態と言うそうです。ちょっとWEBで調べてみたところ心理的安全性が高い状態とは
チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに 安全な場所であるとの信念がメンバー 間で共有された状態
と定義されている。 (「心理的安全性」とは何か? チームや職場へのメリットを紹介 | 人事のプロを支援するHRプロ から引用)
とのことです。チーム全体で、発言をしやすい空気感がある状態ってことですね。
人を指摘する側面だけではなく、自分から情報を発信を促すときにも作用するので、高い心理的安全性を確保することはとても大事なことだと思います。
締めくくり
めちゃくちゃ偉そうに色々書いてしまいましたが、コミュニケーション1つで、チームのバランスが大きく崩れたり、パフォーマンスに影響があると個人的に考えています!
読んでいただけた方の何かの参考になれば幸いです!
ご拝読ありがとうございました!