スケジューリングされた"モブ”でのレビューのススメ

Adways Advent Calendar 2018 16日目の記事です。

http://blog.engineer.adways.net/entry/advent_calendar_2018


  

こんにちは。山口@tyamaguc07です。
エンジニアリングマネージャーとして働いています。
なお、会社では組長と呼ばれています。

今回は一緒に仕事をしているチームで行っているレビューの取り組みについて紹介しようと思います。

タイトルの通り、このレビューは2つの要素で成り立っています。

「スケジューリングされている」「モブで行われている」 とい要素です。


スケジューリングされている

毎日1時間、決まった時間をレビューの時間として確保しています。 自分がスクラムマスターとして関わっているチームでは、14時半から1時間をレビューの時間として確保しています。

時間になると、前回のレビューの以降に書いたコード・ドキュメントをレビューしていきます。
したがって、完成していない途中の段階のものもレビュー対象となります。

スケジューリングされていることのメリットを具体的に紹介していきます。

手戻り削減

おおよそ6時間毎にレビューが行われます。
そうすると、必然的に認識のズレにいち早く気がつくことができます。

たとえば、要件の認識のズレ、実装の方向性のズレ、仕様のモレなどです。
早いタイミングで認識のズレを減らせる価値はかなり大きいです。

数日かけて開発された機能が認識のズレで半分作り直し。という状態になってしまったら辛いですよね。

レビューアーの割り込み削減

自分がテックリードとして開発を行っていたときに、よく自分のタスクの消化中にレビュー依頼が来るということあり、苦労していました。
軽微なタスクのレビューであれば短時間で終わらせることが出来ます。
しかし、時間をかけて開発されたタスクは相対的にレビューにも時間がかかることが多く、自分のタスクに集中できる時間が日によって異なる要因となっていました。

前述の通り、今のチームでは毎日固定された時間をレビューの時間として、それ以外の時間を開発の時間として使うことができます。。
したがって、突発的なレビューが発生することは基本的にありません。(hotfixなどのレビューは突発的に行います。)

これによって、開発に使える時間の予測可能性が上がり結果的に成果が安定しやすくなります。
さらに、「今日ずっとレビューしてた。自分のタスクなにもしていない…」というような状況が無くせるので、レビューアーの精神が安定します!


モブで行われる

モブでレビューをするだけなので、よくあるモブワークと大きく変わる点はありません。
レビューの時間が来るとモニターの前にチーム全員が集まりレビュースタートです。

この取組では、モブプロのメリットを部分的に享受することができます。

信頼関係を強化する

モブでの取り組みはコミュニケーションの量を圧倒的に増やします。
これはチーム内の信頼関係を強化することに繋がります。
(ちろん、コミュニケーションの質も重要です。そこはふりかえりなどで改善しています。)

色々な視点からレビューが行われる

チームには色々な強みを持った人がいると思います。
これによって、1人でのレビューと比較すると色々な視点でレビューが行えます。

  • 設計が得意な人であれば、設計の観点で
  • パフォーマンスを常に意識している人であれば、速度の観点で
  • ドメインエキスパートであれば、関連する機能との整合性という視点で

これらは、手戻りを減らす結果や、最終的な質を上げることに繋がっていきます。

属人化の削減

一緒に働いているメンバーが、どのようなタスクをどのように実装していったのか知ることができます。
これはモブプロと同じように暗黙知が共有され属人化を軽減することに繋がります。

技術ナレッジの共有

レビューアーとしてアサインされることが少ないジュニアもレビューに参加します。
これによって、シニアが書いたコードの技術的な背景が共有されることが増え成長を促進する効果があると考えています。


  

レビュー中の様子


スケジューリングされた"モブ”でのレビューの価値

双方の価値をより高め合う

手戻りの削減は、高い信頼関係があればより向上すると考えています。
属人化の削減は、大きなものをまとめて1度見るより、細かいものを何度も見たほうが価値があると考えています。
このように、この取り組みは2つの要素が同時に行われることでより高い価値を生み出すことになります。

チャレンジ容易性

「モブプロやってみたい。」けど、「ビジネスのメンバーがなかなか理解してくれない。」「理解はしてくれるけど、いきなり多くの時間を割くのは難しい。」ということはあるのではないかなと思っています。

この取り組みは、ビジネスのメンバーも価値を納得しやすく、かつ実感も得やすいのではないかと考えています。また、時間投資も比較的少なく済ませる事ができるため、チャレンジしやすいのではないでしょうか。

気軽にモブを体験できる

チャレンジ容易性からモブワークの最初の一歩として継続的に取り組めるのではないかと考えています。
モブの楽しさを実感でき、周りにも伝えやすい。モブの良さをチーム内外が知ることが出来ると思います。

より発展的なモブワークへ

チームの内外がモブの良さを知ることができた結果、モブやってみようという動きに繋がっていくのではないかと思っています。
実際に「ちょっとこれはモブでやってみようか。」というようなコミュニケーションが組織に少しずつ増えている印象を持っています。


  

というわけで、本日は、スケジューリングされた"モブ”でのレビューの紹介をさせていただきました。
長いのでチーム内では略してモブレビュー、もしくは単にレビューと表現することが多いです。

このレビューの取り組みは1年ほど前から1つのチームで始め、今は3チームで行われています。
本当にオススメなので、是非導入を検討してみてください。
また、なにか質問などあれば気軽に @tyamaguc07 までどうぞ。

それでは、師走の3連休の初日の記事は以上になります。