Adways Advent Calendar 2017 13日目の記事です。
http://blog.engineer.adways.net/entry/advent_calendar_2017
"AIしてますか?"
2017年11月1日にすげぇwhitepaperが公開されました。
その名もSingularityNET。
本稿ではブロックチェーンを用いた人工知能基盤SingularityNETについて、ザックリと紹介します。
SingularityNETを3行でまとめると
- AIサービスのオンラインマーケット
- 汎用型人工知能(AGI)の土台
- AIを用いた公益の追求
「ちょっと何言ってるかわかんない」
whitepaperの第8章: Conclusionを抄訳しました。
正直なところ、私自身何を言ってるかわかりません。
何を言ってるかわからない。
こう言うときは、原理原則を鑑みて推して量るほか手立てはありません。
(論文を読んでて頭を抱える時、杉田玄白すげぇと思う次第です)
辞書すらない当時の環境下で苦心のうち翻訳を進め、安永三年(1774年)に『解体新書』として刊行(引用元: wikipedia.org)
SingularityNETの原理原則
whitepaperのAbstract(要約)を読んでみます(筆者抄訳)。
人工知能の価値と力は毎年劇的に成長していて、インターネットと経済そのものを近く牛耳るだろう。
しかしながら、昨今の人工知能のツールは閉鎖的な開発環境によりバラバラになっている ー ほとんどが1つのタスクを処理するために1つの団体により作られており、別々の人工知能を組み合わせる方法はない。
SingularityNETは、人工知能や機械学習が汎用型人工知能を形成するためのネットワークの主たるプロトコルとなることを目的とする。SingularityNETはオープンソースプロトコルであり、人工知能サービスのスマートコントラクトを用いた非中央型のマーケットだ。
このフレームワークにおいて、AIがもたらす益は、全世界に益するものになる。
誰でも人工知能技術を利用できたり、開発の重要な位置を占めることができる。
誰でも人工知能サービスをSingularityNETに公開でき、その利用料を得ることが出来る。SingularityNETはSingularityNET Foundationを母体としており、SingularityNET Foundationは人工知能による益は小さな力のある集団によって独占されるべきで無く全体に還元されるべきものである、という信念のもと運営されている。
SingularityNETの主たる目標は人を中心にした慈善的な技術の確保であり、そのネットワークは有益なる参加者を奨励し報酬を与えるように設計されている
なるほどねぇ。
まだ私が何を言ってるかわからない、そこのあなた。
『半年ROMってろ』『ggrks』と言いたいところですが、アドウェイズの社員はそのような事を言いません。
ぶっちゃけググった所で2017年12月現在、SingularityNETについての日本語の記事は数少ないので、本当に半年ROMらないとダメかもしれません。
なので、この記事を読んでドヤァしましょう。
再度、3行でまとめてみましょう。
- 人工知能界隈の現状の課題として複数のAIを組み合わせて使うことは出来ておらず、複数の人工知能を組み合わせて使う開かれたプラットフォームとしてSingularityNETを作る。
- 誰でも利用・開発が出来、スマートコントラクトを用いる事で非中央型の人工知能マーケットを作る事により、全世界が人工知能の恩恵を得られるようにする。
- 複数の人工知能を組み合わせて使うことにより、汎用型人工知能の形成を行う。
- アドウェイズの社員は『半年ROMってろ』『ggrks』とか言わない。
「おぃ、3行以上じゃねーかっ!しかも最後関係ねぇよ」って思った、そこのあなた。
良いツッコミですね。
株式会社アドウェイズでは、良いツッコミが出来るエンジニアを募集しております。
奮ってのご応募お待ちしております。
スマートコントラクト
さて、Abstractで、ザックリと意味はわかりましたか?
「スマートコントラクトって何?」って思ってる、そこのあなた。
良い質問ですねぇ。
最近ちまたで流行ってるブロックチェーンが、ふかーく関わってます。
ブロックチェーン
(引用元: wikipedia.org)
最近流行っているBitcoinっていう暗号通貨が、ブロックチェーンを使っています。
すごく簡単に言うと、ブロックチェーンはデータベースです。
1行1行のレコードはタイムスタンプと前のレコードのリンクを含んでいて、理論上改ざんが出来ない構造になっています。
過去のレコードを書き換えると、その後のレコードを全て書き換えないといけません。
その書き換えの最中に、新しいレコードがガンガン入ってきます。
Bitcoinではもっとも長いレコードのつながりを正とする、としています。
ブロックチェーンは改ざんの出来ないデータベースくらいに認識してください。
これをP2Pネットワーク上で動かし、非中央型のデータベースを作ります。
スマートコントラクト
スマートコントラクトは1996年にスザボ博士によって提唱されました。
契約には様々なルールがあります。
ルールがあるからこそ、簡単に自動化できます。
紙で行っていた様々な契約も、コンピューターでサクっと出来る。
このような自動化された契約というのが元々の概念です。
例としてよく挙げられるのが自動販売機です。
1. Userが金額を投入する
2. UserはItemをボタンを押して選択する
3. 機械は自動的にUserに対してItemを提供し、契約を終了する
Ethereum
このスマートコントラクトの概念をブロックチェーンに持ち込んだのが、Ethereumです。
Bitcoinが、ただの送受coinトランザクションのデータベースなのに対して、Ethereumは分散アプリケーションのためのプラットフォームです。
SingularityNETはEthereum上で動きます。
whitepaperには、ネットワークが大きくなったらEthereumを離れるとの記載もありますが、当分はEthereum上になります。
「は?」って、ポカーンとした、そこのあなた。
私も、は?って思いました。
簡単に言うと、BitcoinもEthereumもブロックチェーンの応用事例でしかないのです。
これ以上のブロックチェーンやスマートコントラクトの説明は脱線する恐れがあるので、興味のある人はggrksググってください、whitepaper読んでください。
ブロックチェーンを(データベースとして)使う、アプリケーションを作成できるP2PネットワークがEthereumと思ってください。(これをDApps: Decentralized Applicationsと言います)
ここまでのまとめ:
- SingularityNETはブロックチェーンを使う。
- SingularityNETはブロックチェーンのネットワーク上で人工知能を動かす。
- 人工知能の利用・開発は誰でも出来る。
マーケットについて
SingularityNETでは、現金は使わずAGI Tokenというトークンを使います。
こうすることで、全世界共通のプラットフォームを目指しています。
先日ICO(仮想通貨技術を使った資金調達)していましたね。
利用者はAGIトークンを払います。
開発者はAGIトークンを受け取ります。
仮想通貨のAGIトークンを使った取引をマーケット上で行います。
また、人工知能・機械学習の計算は結構ヤバいですよね。
計算量が膨大であり、そしてデータが大きい。
ちょっと複雑な深層学習の計算するだけでGPUマシンだ何やかんや必要です。
SingularityNETでは、計算も分散しちゃいます。
計算資源を貸す事でAGIトークンを得る事も出来ます。
暗号通貨のマイニングみたいな概念ですね。
ネットワーク上でデータ解析をやってしまうんですね。
さらに!
データも売れちゃうんです!(プライバシーに配慮・合意の上で)
開発者は学習用にネットワーク上のデータも使えます。
データの提供者は、AGIトークンを得る事が出来ます。
おそらくですが、断片化されたファイルをネットワーク上に保持するために、IPFS的なことになるんだと思います。
人工知能に必要な大量のデータや計算資源は、零細企業やベンチャーは持つことは出来ません。
この課題を解決しようという試みです。
公益の追求の精神がうかがえますね。
ここまでのまとめ
- 利用者
- 開発者
- データ
- 計算資源
この四つをまとめてしまうプラットフォームがSingularityNETということです。
仮想通貨の発行するAGI TOKENでの経済圏になります。
オープンで誰でも参加できる人工知能サービスの報酬型のネットワークです。
また、こうする事で人工知能の精度も上がり、シナジーが生まれる事を狙っているようです。
このようなシナジーをもって、様々な人工知能を組み合わせ汎用的な人工知能(artificial general intelligence)を作る。
AIがAIを作る際、どのAIが適切でどのデータが適切かを判断するAItoAIの構想も描いてます。
Singularityの実現を行おうとしています。
余談ですがSingularityNETは、Hanson Roboticsの人型ロボットのSophiaの開発にも関わっています。
ロボットとAIですよ、ロボットとAI。
SingularityNETを3行でまとめると
- AIサービスのオンラインマーケット
- 汎用型人工知能(AGI)の土台
- AIを用いた公益の追求
どうでしょう。
「ちょっと何言ってるかわかる」
そんな気分でしょうか。
それでも、わからないなら、100回読んでください。
繰り返し読むことで意味がわかってきます。
非中央型の"global brain"を作ることを目的(whitepaperの第1章参照)としてます。
"Global brain"を作ることにより、実は中央的な汎用型人工知能を作るという、矛盾。
物極必反、という中国のことわざがありますね。(物極まれば必ず反る(かえる))
頂点に達するがゆえの、矛盾ですね。
人類、行きつくところまで行きついてしまった、という事でしょうか。
技術的な発展により、人類は労働から解放されるのか、はたまた虜にされるのか。
2017年12月現在、アルファバージョンの段階なので俄然開発段階で、2018年12月にVersion1.0をリリース予定です。
いいですね、夢がありますね。
最後まで読んでくれた、そこのあなた!!
このような取り組みが世界のどこかで行われている事を知ってください。
それでは皆さん、良いお年を!
A very merry Christmas
And a happy New Year
Let's hope it's a good one
Without any fearWar is over if you want it
War is over now
Happy Xmas
(引用元: Happy Xmas (War Is Over). 作: John Lennon)
データサイエンスディビジョンの湯浅より
愛(AI)をこめて