【kintone hive 2025 tokyo】 大規模イベント登壇で得た学び

こんにちは!広告事業本部でユニットマネージャーをやっている上森です。

USBポートというものは実に不思議で、差し込む直前まで「表」と「裏」の重ね合わせの状態にあり、観測(=差し込み行為)によって初めて向きが確定するというのは有名な話ですが、その成功確率はなぜか常に33.3%(表、裏、そしてひっくり返してもう一度)に収束します。この『USBの三体問題』に日夜頭を悩ませています。

さて、そんな日常に潜む物理法則のバグと格闘する日々ですが、今回は私の大きな挑戦についてお話をしようと思います。

はじめに

先日、サイボウズ社が主催する1000人規模のイベント「kintone hive 2025 tokyo」(会場はZepp DiverCity!)に、弊社の代表として登壇させていただきました。

登壇写真

この記事では、ひょんなことからこのような大きなイベントに登壇することになった私が、以下の内容についてお伝えしようと思います。

  • kintone hive に登壇することになった経緯
  • 登壇を通じて得られた学び

外部イベントへの登壇に興味がある方、これから登壇を控えている方など少しでも刺激やヒントになれば幸いです。

きっかけ

ことの始まりは3月末。私のチームのプロダクトオーナーから「kintone hiveっていうイベントあるけど出てみない?」というお誘いを頂いたのがきっかけでした。

正直なところ、最初に話を聞いた時は「kintoneについて熱く語りたい!」というより、「Zeppの舞台で、1000人の前で話すのって面白そう!」という好奇心が勝っていました。

私自身、これまで外部イベントでの登壇経験はなく、チームの他のメンバーも同様でした。この経験は自分自身の成長に繋がるだけでなく、チーム全体に良い影響と刺激を与えられるのではないか。そんな思いで、応募することになりました。

エントリーシートによる書類審査

登壇するためには、まずエントリーシートによる選考を通過しなければなりません。締め切りは5月末。そして後から知りましたが、今回は東京会場での応募だったので、かなり狭き門だったみたいです。

審査基準には「業務改善の効果が出ているか」「登壇に対する熱意をどのくらい感じるか」といった項目が公開されていました。特に私が注力したのは、「熱意」です。

どうすれば、この登壇に賭ける思いが審査員に伝わるのか。考えた末に、ただ事実を並べるだけでなく、構成や見せ方を徹底的に意識し、約7000字にわたるアツいラブレターを書き上げました。もちろん、単に闇雲に文字数を増やした訳ではありません。

審査員が読みたいのは無味乾燥な成果紹介ではなく、心を動かすストーリーのはずです。 そこで「課題 -> 苦労 -> 工夫 -> 解決」という構成で、エントリーシート全体で一つの物語を語ることを意識しました。

また、文章の構成や表現について、AIを壁打ち相手に何度もラリーを重ねました。「この表現は読者にどう伝わるか?」「もっと魅力的な言い回しはないか?」と問いかけ、客観的な視点を取り入れながらブラッシュアップしました。

そして最後に、「この経験を通じて成長したい!」という登壇に懸ける、個人的で正直な想いを自分の言葉でしっかりと書き加えることで、熱意を伝え切ることを目指しました。

その結果、6月上旬、無事に選考通過の連絡が届き、久しぶりにガッツポーズしました笑

プレゼン準備編

選考を突破し、次に待ち受けていたのはプレゼン準備です。今回は弊社のデザイナーにスライド作成を手伝っていただき、クオリティの高いスライドを準備することができました。

スライドの完成が見えてきたところで、次に「どう伝えるか」という課題が浮上してきました。 ただ、ある程度発表原稿が完成して社内の関係者と発表練習を重ねる中で、あることに気付きました。

「これは、本当に自分の言葉で話せているか?」

用意した70枚超のスライドをただ読み上げるだけの発表にはしたくなかったので、原稿を暗記するだけではなく、まるでその場で考えながら話しているような、自然かつ情熱的なプレゼンがしたいと思いました。

そこから、プレゼンのチューニング作業が始まりました。声の抑揚や身振り手振りはもちろん、「〜と思います」といった曖昧な表現をなくし、断定口調で語ることで聞き手に安心感を与える。細かい部分まで意識しました。

また、私の発表順は7組中5番目だったので聞き手の集中力もバッテリー切れ寸前のはず。そこで、冒頭でいかに「お、こいつ面白そうだぞ?」と思わせるように工夫しました。 具体的には、kintoneと全く関係のない趣味のペペロンチーノの話から入ったり、自分の前の発表内容に軽く触れてライブ感を演出したり、などなどです。

この狙いは、聞き手に「この人発表慣れてそうだな、安心して話を聞けそう」という第一印象を抱かせるためです。 安心してもらうことで、その後の発表内容もしっかり聞いてくれるようにしたかったのです。 内心は緊張でバクバクでしたが、それを見せないようにポーカーフェイスで堂々とした立ち振る舞いを演じきることに全力を注ぎました。(まあ実際そこまで上手くできていたとは思いませんが笑)

本番当日

さて、いよいよ本番当日。意外なことに、私が一番緊張したのは、本番のステージではなく、その直前に行われた登壇者と運営だけのリハーサルでした笑。

大会形式だったため、他の登壇者の方々を前に「こいつの発表、どんなもんよ」と値踏みされているような気がして…(もちろん、完全に私の勝手な思い込みですが)。

しかし、いざ本番は、発表練習を念密に行なったことで不安要素はあまりなく自信もあったので、一度ステージに上がってしまえば、正直めちゃくちゃ楽しかったです! 実際、スポットライトをかなり強く浴びているので、会場のお客さんの顔も逆光でほとんど見えなかったので緊張もそこまでしなくてすみましたし笑

結果としては関東・甲信越代表には選ばれなかったので、残念ではありましたが、発表後の名刺交換や懇親会では本当に多くの方から褒めてもらったので満足です。

特に、「kintoneの活用フェーズの話が聞けたのは貴重だった」と嬉しい感想を多くいただき、これまでの苦労が報われた瞬間でした。

Xでの反応も沢山あったので一部を載せておきます。

登壇を通して学び・得られたもの

この挑戦を通じて、私はプレゼン術以外にも、本当に多くのことを学びました。ここではその中でもほんの一部をご紹介します。

丸投げはNG!伝えることの難しさ

プレゼンにおける「伝える」ことの難しさは、練習を通じて痛感しましたが、実はそれ以上に大きな学びが、デザイナーとのスライド作成の過程にありました。

当初、私は伝えたい内容を書き出した30〜40枚ほどのラフスライドを用意し、「これでお願いします」と共有しました。しかし、返ってきたのは「このラフだけではデザインを作成できない」という言葉でした。

今思えば、「これで伝わると思った?」と自分を問い詰めたくなる恥ずかしいものでしたが、当時のダメなラフの例を載せておきます。

ラフスライド(ダメな例)

これではどのようなデザインで何を伝えたいのかが全く分からないですよね。 デザイナーにフィードバックを受けてラフスライドの作り直しをしたのが以下です。

ラフスライド(修正後)

そして、出来上がったスライドはこちらです。

完成スライド

今まで私は、要望を受け取る側の業務は多く経験していましたが、自ら要望を出し、他部署の人を巻き込んで何かを進める経験が圧倒的に不足していました。結果として、各スライドで「何を」「どのように」伝えたいのか、その背景にある意図や文脈を全く伝えられていなかったのです。

相手がデザインの専門家だからといって、意図を汲み取ってくれるだろうという甘えがありました。 目的、背景、完成イメージを、必要以上に細かく言語化して伝える努力が必要でした。

この失敗から、私は自分の考えを改めました。まず自分である程度デザインの方向性や構成を具体的に作成し、その上で「なぜこのデザインにしたいのか」「このスライドで聞き手に何を感じてほしいのか」という発表内容の意図まで含めてMTGやチャットで共有するようにしました。この学びは、今後の業務全体に活きる貴重な経験となりました。

チームの熱意向上

この挑戦を通じて、チームとしても、大きな財産を得ることができました。

メンバーの中で「次は自分も何かイベントに出てみたい」という声が上がるようになりました。 まさに私が望んでいた、チームへの刺激が良い形で生まれた瞬間でした。

さらに、登壇だけでなく今まで外部イベントに参加することもほとんど無かったメンバーも自ら「こんなイベントあるから参加してみたいです」と言ってくるようになったのです。

やはり現地でしか感じられない熱気を肌で感じ、オンラインでは得られない刺激を受けてくれたのかなと思いました。

おわりに

今回のkintone hiveへの挑戦は、Zeppの舞台に立った17分超だけでなく、その前の準備期間も含め自分にとってかけがいのない経験となりました。

この記事が、イベント登壇という新たな挑戦を考えている方の背中を、少しでも押すことができたなら幸いです。

最後に、今回の登壇の様子がYouTubeで限定公開されています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

※2026年5月末までの限定公開