振り返りの最適化を目指そう!

こんにちは。スガタニと申します。
新米エンジニアリングマネージャー兼スクラムマスターとして、良いチーム作りに日々頭を悩ませています。

みなさん、振り返りにはどんなフレームワークを使っていますか?マンネリ化していませんか?チームに合っていますか?
「うちは完璧にやれてます!」と答えられなかった方は、よければこの記事を読んでみてください。
かくいう私も答えられませんでした。
そんな私のチームが、最適な振り返り手法に辿り着くまでの過程を紹介させていただきます!

KPTとの決別

私のチームでは長年KPTを使用して振り返りを行っていました。
「Keep(良かった・継続したいこと), Problem(問題点), Try(試したいこと)」を書き出すフレームワークです!

振り返りの振り返り

ある日、チーム体制に変化があったことをきっかけに、長年やってきた振り返りの振り返りをしてみました。

スガタニ「KPTどう?」

メンバー「うーーーん。」

スガタニ「人によっては毎回意見が少なかったりするけど...書きにくさを感じてる?」

メンバー「TryありきのProblemを考えてしまって書きづらい時がある。」

メンバー「問題点メインの話になって、ネガティブさを感じてしまう。」

スガタニ「ふむ...もしかしてKPTはチームに合ってないのでは?」

KPTは課題発見に強いフレームワークですが、どうやらチームとして振り返りに求めているものとは違うようです。
では、チームは振り返りに何を求めているのでしょうか?

振り返りの目的を決めよう!

曖昧な知識で話を進めるのに抵抗があり、 まずは「アジャイルなチームをつくるふりかえりガイドブック」から振り返りの知識を、「ふりかえりカタログ」という最高のPDFから世の中にあるフレームワークを学びました。

これで準備は万端!
さっそくメンバーに振り返りで何を得たいか聞いてみました。

  • 学びや気づきを共有する中で感情も知りたい
  • チームの信頼関係を高めたい、感情も知りたい
  • 何に対してネガティブ・ポジティブを感じるのか知りたい

みんな感情を知りたがっている!!!!

これは大発見。KPTの強みとは全然合っていませんでした。
さらに、「事実×感情を共有することを目的に据えて、みんなで別のフレームワークを色々試してみよう!」という話にまで発展しました 👏

新しいフレームワークとの出会い

ここからフレームワーク色々試そうキャンペーンを始めました。
メンバーがローテーション制で新しいフレームワークを持ち込み、進行、振り返りの振り返りまで行うという流れです。

では、実際に持ち込まれたフレームワークを紹介していきます。

ハピネスレーダー×タイムライン

その名の通り、2つのフレームワークの組み合わせ案です。
時系列(横軸)に沿って出来事を書き出し、感情(縦軸)に合わせて付箋を貼ってもらいます。業務からプライベートのことまで何でもOKです。
さらに、コミュニケーションの活性化を狙って、他メンバーの付箋にコメントを追加する時間を設けました。

つぶやきさん

グッド(良かった・楽しかったこと)とつぶやき(感想・気になること)を書くオリジナルフレームワークです。
ここでもコメント追記スタイルが採用されています。

YWT

Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)を書く、有名なフレームワークです。
一度変化をつけるために、あえて「事実×感情を共有する」という目的を除外したフレームワークを用意してもらいました。

Emotional Flower

出来事を書き出し、感情に合わせて喜怒哀楽無に分類するオリジナルフレームワークです。
ハピネスレーダーからの派生で、自分ではなく他の人の記載内容を発表するところが特徴です。
ここでもコメント追記スタイルが採用されています。  

HKI

出来事を書き出し、H(話したい)、K(聞きたい)、I(いいね)マークをつけて議題を決めるオリジナルフレームワークです。
話したい、聞きたいマークがついた事柄はその場で深堀りを行います。

YOA

Y(やったこと)、O(思ったこと)、A(アクション)を書く、オリジナルフレームワークです。
Yを書き出して、そこにコメントする形でOとAを記載します。

チームでの最適解

フレームワーク色々試そうキャンペーンを経て、6つのフレームワークを実施しました!

タスクとしてキチンと時間をとって、メンバーに自由に作ってもらったのですが、4/6がオリジナルフレームワークだったことに驚きました。

各々がチームに合う形を目指したフレームワークでした。
振り返りの目的の認識を合わせておいてよかったです😊

良い変化が!

さて、新しいフレームワーク導入によりどんな変化が起こったでしょう。

振り返りの記載量が3~5倍に増えた!すごい!
内容を発表するだけの場だったのが、議論の場になった!すごい!
みんな笑顔が増えて、楽しそう!すごい!

兎にも角にも発言・会話量が圧倒的に増えたのが嬉しい...
フルリモート勤務の影響で、日々業務の話しかしていなかったのですが、プライベートの話もできる交流の場にもなりました。

振り返りが義務的なものから、少し楽しいものに昇格したのでは?!とニコニコしています。

採用したのは...

良い変化も確認できたので、最終的にどのフレームワークを採用するかを決めるため、多数決を実施しました。

そうして選ばれたのは...

ハピネスレーダー×タイムライン!

同時に「楽しかったものは?」「意見が出しやすかったものは?」という質問も投げかけたのですが、かなり票がばらけており、どのフレームワークも良かった!ということがよく分かりました。

↓現在はこのようなテンプレートで運用しています

今後

チームに合うフレームワークはバッチリ選べました!が、意見量が増えたことによるタイムキーピングの難しさ、改善のためのアクションが出にくい等の課題は残っています。 なので、さらなる最適化を求めて改良しながら継続利用していこうと思います。

プロジェクトやチームに大きな変化があった際には、再度振り返りの振り返り→目的の見直しをすると良さそうですね!

さいごに

振り返りは、目的が色々あれば、手法もたくさんあって、千差万別なものだと思っています。
そのため、チームで目的を一致させること、自分達に合ったフレームワークを選択することは、チーム作りにおいて大事だろうと私は考えています。
誰か1人が頑張るのではなく、全員で変化を起こしたことで納得感を持った結論が出せたのも、大きなポイントかもしれません!
スクラムマスターだけでなく、チームメンバー全員が振り返りの最適化に取り組めました。
自己組織化されたチームと謳っても良いのではないでしょうか!(自賛)

振り返りに悩みがあったり、マンネリ化したりしている場合には、今一度振り返りをチームで見直してみるのはいかがでしょうか。